Scratch

スクラッチ専門番組【匠の手】エピソード07: DJ KAITO

今回はDJ KAITOが登場です。若干11歳でスクラッチバトルに出始め現在13歳になったばかりの彼はここ数年で凄まじいスキルを身につけていますので今回選出させて頂きました。大人顔負けの彼のシャープなスクラッチをどうぞご覧ください。

スローな60bpmぐらいで怪しい浮遊感あるビートのイントロから切れ味鋭いクリックでワードをCUTしてます。短いワードに2Click FlareやBoomerang 0:47~を超高速で一瞬入れていますがとても正確なクリックです。S9(ミキサー)特有のCUTの出音も相まってより際立って聞こえますね。1:07~辺りで2Click Flareに縦フェーダーをプラスして3Click Flareの様に音数を増やしています。今でこそこの技は様々なターンテーブリストがやっていますがあの技を生み出したのは確かDJ Crazeだったと思います。1:14~辺りではBaby Scratchに2Click Flareのコンボ、ChirpではなくBabyでやることで音をビートに詰め込みやすくしていると思われます。1:25~ではTazerを2本指でやっています。1:36~からは音を変えて1:41~辺りではBaby ScratchにCrab 3Click Flareをやっているんですが強烈な出音ですね。1:55~からSnap(Tear)を2Click Flareの折り返しにうまく入れてます。この技はなかなか難易度が高いのですが既に物にしていますね。彼のセンスに驚かされます。

全体的に音を詰め込みつつ若さからなのかわかりませんが勢いがとてもあってFunkyなスクラッチでした。13歳でこのレベルなら今後どうなってしまうのでしょうか…将来がとても楽しみなスクラッチャーです。

関連: スクラッチ専門番組【匠の手】エピソード06: DJ REN

スクラッチ専門番組【匠の手】エピソード06: DJ REN

匠の手第6弾はDJ RENの登場です。

Vestax NoTricks、Red Bull 3Styleと数々のチャンピオンである輝かしい経歴はこちらでは割愛させて頂きます。現在AbemaTVでの番組【AbemaMix】でもプレイする彼は今回の匠の手の為にオリジナルトラックを製作してスクラッチしてくれました!!ありがとうございます。オリジナルトラップビートに乗せた彼のグルーヴィーなスクラッチをどうぞご覧ください。

まず初めにワードでのスクラッチ。短いワードを細かく裏拍から2Click FlareやChirpでリズミカルでグルーヴのあるCut0:55~をしています。こういったカッコイイ音を出すにはレコード側の手とフェーダーの指がリンクしていないと出ません。バランスの良いCutがカッコイイ音を出してる手本の様なスクラッチです。

そしてAhhhでのスクラッチ1:18~。彼の繊細なタッチから奏でられるスクラッチはとてもブラックなノリが溢れ出ています。Ahhhの音の後半部分でDelayed 2Click1:30~、OG Flareでレコードをリリースしながら送ってフェードアウト1:37~。聴き心地良くとても巧いですね。綺麗過ぎる…

使用されてるスクラッチネタのワード等はビートのBPMに合わせています。遅くなったワードやAhhhを曲とマッチさせ計画的にこの曲(ルーティン)の雰囲気を作っています。そういった細かい設定もDJでもあるベテランのなせる技術ですね。(※PioneerDJのターンテーブルは50%までピッチが変更できるのでそれを使用していると思われます。)

Ahh Yeah1:40~ではミキサーS9のキューボタンで頭出しとBabyスクラッチを織り交ぜデジタルとアナログを融合させCrabスクラッチ1:47~をしています。こちらもキレが良い!そしてAhhhに戻り前半にやった技をフェードイン2:05~フェードアウト2:18~させ展開をつけてフィニッシュしています。

全体的に纏りが綺麗なルーティンで彼のスタイルが前面に出ています。同じスクラッチをやっても同じ音が出ないのは何故か?という疑問の答えを彼は当然知っているのでしょう。スキルだけで魅せるのではない重要な要素を彼は今回教えてくれています。

関連: スクラッチ専門番組【匠の手】エピソード05: DJ YUICHI

スクラッチ専門番組【匠の手】エピソード05: DJ YUICHI

日本国内における数々のスクラッチバトルで優勝を獲得したTOYODA-STYLEが監修するDJのアーティスティックな手にフォーカスしたスクラッチ専門番組「匠の手」第5弾。昔から「日本人は手先が器用だ」とよく言われます。それが真実か否かは分かりませんが、箸を器用に操り、複雑な漢字を使う国「日本」がDJ界においてスクラッチ先進国であることは近年のDJバトルの成績を見ても確固たる事実です。鮨職人のようにネタ(スクラッチサンプル)とシャリ(ビート)を洗練された手つきで組み合わせるその技術をお楽しみ下さい。下記の解説は解説はTOYODA-STYLEが徹底的に行ってくれています。

今回はDJ YUICHIが登場です。Instagramでは有名なスクラッチャーでTearやStabがとても速いです。彼の高速なスクラッチをどうぞご覧下さい。動画初頭からトップギアでSay Whatのワードを高速スタブ(00:49~)して始まる勢いに圧倒されます。正確無比の彼のStabはみんなの憧れで、まさにStabキングですね。短いワードを難しいClover Tearに1click Flare (00:58~)を入れています。ゆっくりなビートでも難しいこの技をこの早いビートでメイクするのは至難ですが、これも彼の得意技かと思わされるぐらい軽くメイクしてますね。(01:14~)からAhhhに変わり速いTearを随所に入れてCutしています。01:37~辺りからStabの猛攻です。(01:49~)では手をバタバタさせたTearを入れています。これは彼しかやっているのを見たことがないのでオリジナル技ではないかと思います。最後に(02:16~)でスクラッチフェードアウトしていくんですが、ここでもキレの良いTearで完結していく所は流石ですね。男気満載のFunkyなスクラッチフローを見せて頂きました。

彼は現在Tablist Lounge Japan代表であり、茨城県をレペゼンするスクラッチクルーIBRK Kutting Brosに所属しています。同クルー所属の相棒DJ JUNYA(310kings)とのスクラッチパフォーマンスは圧巻のスクラッチショーケースですので機会があれば是非一度見て頂きたいです。また茨城県古河市を代表するRap crew Old River StateのDJでもあり8月15日新曲リリース&アルバム制作中との事です。Instagramではスクラッチの動画を定期的にUPしていますのでそちらもチェックしてみてください。

関連: スクラッチ専門番組【匠の手】エピソード04: DJ IKU

スクラッチ専門番組【匠の手】エピソード04: DJ IKU

日本国内における数々のスクラッチバトルで優勝を獲得したTOYODA-STYLEが監修するDJのアーティスティックな手にフォーカスしたスクラッチ専門番組「匠の手」第4弾。昔から「日本人は手先が器用だ」とよく言われます。それが真実か否かは分かりませんが、箸を器用に操り、複雑な漢字を使う国「日本」がDJ界においてスクラッチ先進国であることは近年のDJバトルの成績を見ても確固たる事実です。鮨職人のようにネタ(スクラッチサンプル)とシャリ(ビート)を洗練された手つきで組み合わせるその技術をお楽しみ下さい。今回も解説はTOYODA-STYLEが徹底的に行ってくれています。

今回は、皆さんご存知のターンテーブリストDJ IKUが登場です。Red Bull 3StyleやDMC等数々の大会に出場し好成績を残して来た彼の戦歴は多すぎるのでここでは割愛します。気づいていた人もいたかもしれませんが実は匠の手のオープニングでスクラッチしているDJは彼だったのです。その彼の匠なルーティンをどうぞご覧下さい。今回の音源は匠の手の為に用意してくれたDJ IKUオリジナル音源です!ありがとうございます。

まずビートのイントロに合わせてビートをズラしながらドラミング(ドラムスクラッチ)00:47~で再構築しています。ターンテーブリストらしい入り方はセンスが良くて素晴らしいですね。勉強になります!00:59~辺りからAhhhで2クリックフレア→オートバーンと続きますが出音がとても綺麗です。リズムに正確にハメるのは基本ではあるんですが難しく技術が高いのが聴いてわかります。01:14~辺りではスライスから巧みにフレアでカットして01:16~ではリバーススライスから2クリックを入れて技ありな面白いフローをメイクしてます。カメラアングルが変わったタイミングでFreshのネタでスウィングフレア01:25~からブーメランへスムーズに移行してます。そして随所にディレイ2クリックフレアを入れています。スクラッチをよく理解していないとなかなかできません。そして01:36~からイントロと同じ様にドラミングを入れてアウトロを作りしっかりおとして構成されています。アーティストとしての姿勢が如実に形に…アーティストとしての姿勢が如実に形になった計算されたルーティンですね。さらっとやってしまう所が実にカッコイイです。しっかりネタ(スクラッチサンプル)とシャリ(ビート)が交わった職人のなせる技でした。

彼は現在ジャンルベンダーYouTubeチャンネルでCH419というDJ専門番組でホストをやっています。現在のトップDJから色々な情報やHOW TO等を細かく紹介していますので見て損はない内容です。是非ご覧になってみて下さい!

関連: スクラッチ専門番組【匠の手】エピソード03: DJ SOUMA

スクラッチ専門番組【匠の手】エピソード03: DJ SOUMA

日本国内における数々のスクラッチバトルで優勝を獲得したTOYODA-STYLEが監修するDJのアーティスティックな手にフォーカスしたスクラッチ専門番組「匠の手」の第3弾。昔から「日本人は手先が器用だ」とよく言われます。それが真実か否かは分かりませんが、箸を器用に操り、複雑な漢字を使う国「日本」がDJ界においてスクラッチ先進国であることは近年のDJバトルの成績を見ても確固たる事実です。鮨職人のようにネタ(スクラッチサンプル)とシャリ(ビート)を洗練された手つきで組み合わせるその技術をお楽しみ下さい。下記の解説はTOYODA-STYLEが徹底的に行ってくれています。

今回はDJ SOUMAが登場です。知る人ぞ知るスクラッチクリエイターの彼のフリースタイルをどうぞご覧ください!

映像でのカメラアングルは2アングルとなります。Freshのネタから細かく刻まれるスタブスクラッチ(01:08)から斜め横からのアングルに切り替わる所(01:18~)を良く見ると細かい手をスワイプする動きがあります。数年前からヨーロッパ方面から流行り始めたと思われるバタフライテアーを技の合間(01:57~)に入れて音数を増やしています。

熟練のスキルが無いと綺麗に音が出ないので難易度が高いのですが彼は難無く至る所に嵌め込んでいますね。(01:38~)の所からチェンビのAhhhに変更してそのままオートバーンを入れてますがよく聞くオートバーンとは違う様に聞こえます。それは彼の長い指が関係しているのか?クリーンでオリジナルなフローを醸し出しています。

現在彼の活動はポータブルセッション(ポータブルタンテ知識や改造にかけては世界レベル)を定期的にやられたりルーパーで有名なSkratch Nerdにスクラッチビートを提供したりと精力的に活動されています。今後の活動も是非チェックして頂きたいDJの1人です。

関連: スクラッチ専門番組【匠の手】エピソード02: DJ KEN-ONE

スクラッチ専門番組【匠の手】エピソード02: DJ KEN-ONE

日本国内における数々のスクラッチバトルで優勝を獲得したTOYODA-STYLEが監修するDJのアーティスティックな手にフォーカスしたスクラッチ専門番組「匠の手」がいよいよスタート。昔から「日本人は手先が器用だ」とよく言われます。それが真実か否かは分かりませんが、箸を器用に操り、複雑な漢字を使う国「日本」がDJ界においてスクラッチ先進国であることは近年のDJバトルの成績を見ても確固たる事実です。鮨職人のようにネタ(スクラッチサンプル)とシャリ(ビート)を洗練された手つきで組み合わせるその技術をお楽しみ下さい。

匠の手第二弾に早くも日本屈指のスクラッチャーDJ KEN-ONEが登場です。2019年に自身初のバトルブレイクスを海外のレーベルBattle Ave Recordsから【At The Ave 4】をドロップし世界中のスクラッチャーの手に渡り評価を得ています。そんな彼は今回の動画でそのレコードを使用してスクラッチしていますのでどうぞご覧ください。

動画初頭に耳に飛び込んでくるビートは今回DJ KEN-ONEがこの企画【匠の手】の為にわざわざ製作してきてくれました!感謝です!彼独特のビートの刻みはゾーンに吸い込まれる様です。スクラッチの前半はワードをスクラッチして間を作りクールにフックを作っています。この辺りのスクラッチは簡単な技をやってますがカッコ良く聞かせるのは簡単ではないです。短いワードでシュリンプスクラッチ(エビスクラッチ)やクリーンな高速STAB(00:57~)に変速のチャープ、とても勉強になります。音ネタはチェンビのAhhhに変わり(01:05~)のテアーやブーメラン、フレアスクラッチのコンボ、いろいろな技が炸裂しさすがと言わざるを得ません。スクラッチもボキャブラリー(技)が多いほどフリースタイルに活かせるし曲に対しても色々な切り口で聴かせることができます。彼独特のフローも相まって玄人も頷かずにはいられないでしょう。

そしてビートも中盤(01:35~)でなんと展開がガラッと変わり別のフックをここで作っています。ビートの元ネタはART OF NOISE/MOMENTS IN LOVE。スクラッチをしっかり音楽として認識させてくれるサプライズな展開がまるでTravis ScottとDrakeのSicko Modeの様に感じました。ターンテーブリストでありクリエイターとしてのケンワンさんの今回の作品は世界中のスクラッチファンを満足させる事でしょう!!

最後に今回のビートは彼の好意によりサウンドクラウドでダウンロードできます。バトルブレイクスはこちらから。

DJ KEN-ONEのInstagram, Soundcloudをフォロー。

関連: スクラッチ専門番組【匠の手】エピソード01: TOYODA STYLE

スクラッチ専門番組【匠の手】エピソード01: TOYODA STYLE

日本国内における数々のスクラッチバトルで優勝を獲得した、Turntable Troopers ENT.所属のTOYODA STYLEが監修するスクラッチ専門番組「匠の手」がいよいよスタート。昔から「日本人は手先が器用だ」とよく言われます。それが真実か否かは分かりませんが、箸を器用に操り、複雑な漢字を使う国「日本」がDJ界においてスクラッチ先進国であることは近年のDJバトルの成績を見ても確固たる事実です。鮨職人のようにネタ(スクラッチサンプル)とシャリ(ビート)を洗練された手つきで組み合わせるその技術をお楽しみ下さい。
第一弾はTOYODA STYLE本人が登場。

約1分間のスクラッチの中で前半は声ネタを綺麗に音ハメ、後半は定番フレーズ「Ahhh」でダイナミックに擦っています。前半についてはミキサー(Rane / Seventy-Two)の液晶パネルに表示されている波形で確認できるように、細かく配置されている複数のワードを複雑なパターンでビートにハメています。それぞれのワードの音の先頭を確実に捉えないとメイクできないパートなので、かなりの正確性が必要になります。基本的にスクラッチする音は長いほうが何かと都合が良いのですが、動画01:11〜からは「Yo!」という短いフレーズで様々な技を盛り込んでおり技術力の高さを見せています。
そして後半はお馴染みの定番スクラッチサンプル「Ahhh」で強弱を付けながら擦っています。ラストのSTABスクラッチの安定感と力強さに感服。
TOYODA STYLEが愛知県にかまえているDJスクールは通称: TOYODA GYM。やはり「ジム」と言うだけあって筋トレも重要視している彼。言われてみれば確かに特定の技を連続で練習していると筋肉痛になった経験が私にもあります。おそらく技をメイクするための必要最低限な筋肉は存在するのでしょう。スクラッチにオススメな筋トレメニューが既にあるなら知りたいところですね。
あとスクラッチを分析したい方は、Youtubeの再生速度を設定メニューで0.75や0.5にして見てみるのもオススメです。

TOYODA STYLEのホームページInstagramTwitter、をフォロー。

関連: 日本スクラッチ界のパイオニア・DJ宮島のオンラインDJ教室「MIYAJIMA METHOD」がスタート

日本スクラッチ界のパイオニア・DJ宮島のオンラインDJ教室「MIYAJIMA METHOD」がスタート

 

この投稿をInstagramで見る

 

宮島塾長(@miyajimajyuku)がシェアした投稿

DMC日本チャンピオンに2度輝いたDJ宮島のオンラインDJ教室 「MIYAJIMA METHOD」(ミヤジマ メソッド)がスタートしました。動画はレッスンの一部であるQ&A方式のスクラッチセッションをDJ宮島が一人二役で再現イメージしたもの。

彼が17年もの間、西東京にある宮島塾にてスクラッチを教えてきた経験から見出したその「秘伝」を教われる模様。
そもそもDJ宮島といえば、2002年のDMC JAPAN FINAL バトル部門でスクラッチ主体のルーティンで優勝し、以降はスクラッチの奥深さと芸術性の高さを数々のショーケースやセッション等で多くの人に伝えてきた世界も認めるスクラッチ界のパイオニア。日本のスクラッチ人口が増えたのも彼のおかげと言えるでしょう。
そしてこれは私の経験談でもあるのですが、彼はスクラッチを教える時に、物理的、論理的に教えるだけではなく、精神的、意識的な内側の部分のアドバイスをくれるという点に優れていて、それは他のDJスクールでは教えてくれるところは無いでしょう。彼のツイッターやYoutube「もくおん」などからもそのような発言が見受けられます。

17年間教えてきただけあって、「何が原因で出来ないか」を指摘してくれるうえ、成功の為の的確なアドバイスを受けられる仕組み。勿論、初心者から経験者まで教えてくれるとのこと。今まで宮島塾に直接通えなかった方も、このオンライン教室「ミヤジマ メソッド」で1度学んでみるといいかもしれません。生徒同士の交流も可能となっておりモチベーションの維持にも繋がるでしょう。

料金、入会方法などの詳細はオフィシャルホームページ

http://miyajimajyuku.com/

にてご確認下さい。

宮島塾の Twitter, Instagram, Youtube をフォロー

関連: 全国のDJスクール

DJ SEBYが様々な機材でスクラッチをする”Multiscratch”動画をDJcityTVにて公開


今回のDJcityTVは、イタリアのシチリア島で活躍するターンテーブリストDJ SEBYの登場です。
様々な機材のセットアップで卓越したスクラッチを披露してくれています。

< ルーティン解説 >

「ルーティン解説」と言いつつも機材の紹介になりそうな今回の動画。

最初に登場するのはNumark DJX × Rane TTM56の組み合わせ。2004年に発売されたNumark DJXはCDとMP3等の音楽ファイルを12inchのターンテーブルで操作が可能。その年はTechnicsもターテンテーブル仕様のCDJ”SL-DZ1200“を発売した年で、それまでターンテーブル一辺倒だったHipHop DJがCDJを意識しだした時期です。見た目も昨今話題になっているアーム不要のターンテーブル式コントローラー(PhaseRane Twelve)を予見していたかのようなデザインですね。DJミキサーはRane TTM56というデジタルミキサーでSERATOでお馴染みのRane社が2004年に発売したデジタルミキサーです。特徴としては内蔵エフェクターが装備されているのと、縦フェーダーの距離が短いのでバトルDJ向けのミキサーと言えるでしょう。フーレズ「What’s that cool」を使ったスクラッチの切れ味を見てもそれが伺えます。

次に登場するのはReloop Spin × Vestax PMC-07Pro ISP Modelです。Reloop Spinは2018年に発売されたポータブルターンテーブルで携帯端末やPC機器とのBluetooth接続が可能となっており、ビートとスクラッチ音を同時に内蔵スピーカーから鳴らせるようになりました。また、USBメモリースティックを直挿ししてLINE録音も可能になったので周囲の音を気にする事無く綺麗に録音が出来ます。DJミキサーは2014年に倒産したVestax社が製造したバトルDJ用のミキサーで、SEBYが使っている機種はスクラッチの神様といわれるDJ Q-BERT率いるターンテーブリスト集団Invisible Skratch Piklz(ISP)のシグネチャーモデルです。パネル左中央部に見えるヘッドシェルを模した虫のようなマークがISPのロゴです。とっくに廃番している機種なのでマニアの間では欲しい一品かもしれません。定番フレーズ「Ahhh」を使ったフェーダーの切れ味も抜群です。クロスフェーダー付近の塗装が剥げているのも練習量の証なので当時はヤスリで擦ったりして塗装を剥がしていました(笑)。

3番目のセットアップは、Vestax PDX-2000mk2 Pro × DENON DN-1500S。ターンテーブルは20004年発売のVestax PDX-2000mk2 Proはトーンアームがストレートになっているのが特徴。これは針飛びのしにくい構造(A.S.T.S)として施されておりハードなスクラッチや2枚使いに対応した設計。また通常のピッチコントローラー(可変幅±10)に加えウルトラピッチフェーダーというものがついており、その可変幅は驚愕の±50。おそらく楽曲制作時のソウルなどの早回しサンプリング(Kanye WestのThroug The Fireとか)等で役立ったはずです。 DJミキサーの方は2006年発売のDENON DN-1500Sで調べた所によるとかなりの優れもの。内蔵エフェクターにサンプリング機能、USB出力などなど当時のデジタルミキサーで考えると機能が盛り沢山です。スクラッチの切れ味をみても全く問題無さそうです。

4番目に登場するのはNative Instruments TRAKTOR Kontrol S4。見ての通りオールインワンタイプのDJコントローラーで、DVSソフトのTRAKTOR専用機種になります。発売された2010年といえばSERATOやTRAKTOR等のDVSソフトを使うDJが増え始めた年ですね。同時にこの手のコントローラーも各メーカーから色々リリースされていました。持ち運びが可能なので家と同じセットでDJできるというメリットがあり、DJ人口増加の後押しになったのではないかと思います。スクラッチに関して言えばジョグホイールのタッチ面積が狭いぶん難しそうですね。クロスフェーダーはキレキレなので問題無さそうです。

5番目はTechnics SL-1200 mk3 × Vestax PMC-07Pro ISP Model。いよいよターンテーブルの本命が登場。日本が生んだ名器ともいえるSL-1200は、1979年に現在もクラブ等で使われているSL-1200シリーズの原型とされるモデルSL-1200 Mk2が発売されて以降、世界中のDJに愛され続けカルチャーの発展を共に歩んできました。個人的には未だにTechnics SL-1200を超える安心感と操作性を持つターンテーブルは存在しない気がします。私も15年以上使っていますが1度も壊れた事が無く今日も元気に回転しています。その歴史を紹介したドキュメンタリー映像 「世界を変えた日本の音楽テクノロジー」が昨年RedBull Musicから公開されているので是非チェックしてみて下さい。

ラストはPioneer CDJ-2000 × DENON DN-1500S。Technicsがターンテーブルの本命なら、CDJの本命はPioneerDJといえるでしょう。そもそも「CDJ」という言葉はPioneerDJの製品名ですが、一般ではDJ用CDプレーヤー全般をCDJと呼んでいますよね。それぐらい世界中で使われている機種なのです。多才な機能と高い操作性を備えているのでDJ YAMATO並みに使いこなせばそれだけでオリジナリティのあるDJ Playが可能だと思います。

いかがでしたでしょうか。ポータブルタンテ、CDJ、コントローラー、それぞれの機材に合ったスクラッチの技があると思うので、それを見極めて安定したスキルを見せてくれたDJ SEBYに拍手です。また、これを機にメーカーや機材の歴史に触れてみると面白いかもしれません。日本の機材メーカーが世界の音楽シーンの発展に大きく貢献した事実を知る事になると思います。

DJ SEBYの FacebookInstagramSoundCloudTwitterYouTube をフォロー。

関連: Beast ModeがDJcity本社にてバトルルーティンをサプライズ披露

ビデオ: “DJcity Japan Scratch LinkUp”

今年の6月にスタートしたDJcity Japan企画の動画作品である”DJcity Japan Scratch LinkUp“の映像が完成しました。多くの方に応募して頂き、トータルで15分の動画が完成しました。3種類のBPMで全国各地で活動しているDJの方々がスクラッチしている姿を見ることができます。

また異なるBPMを手動でトランジションをしているDJ IKUの映像も必見です。

動画にご協力して頂いた皆様、ありがとうございました。

ぜひ動画をお楽しみください!


関連: 募集: DJcity Japan Presents “DJcity Japan Scratch LinkUp”

Popular

  • Sync機能についてどう思うのかをDJ Jazzy Jeffが答える

    現在、ポーランドのクラクフで行われているRed Bull 3Style、大会初日に行われたインタビューでDJcityのStyles DavisがDJ Jazzy JeffにSync機能は必要かどうかについて質問しました。 「テクノロジーとDJは何も関係ないよ、使いたくなかったら使えばいいと思うし、必要ないと思...

  • DJcity価格改定のお知らせ

    2022年10月1日よりDJcityのサブスクリプション料金を変更させていただきました。初めてご利用される方のスタートアッププランが1500円/30日間、スタンダードな30日間プランが4,000円/1ヶ月、そしてお得な180日間プランが20,000円/6ヶ月に改定いたしました。何卒ご理解賜りますよう、お願い申...

  • 最大の特典!150円でDJcityをご利用出来ます!

    今年最大のチャンスをお見逃しなく! DJcityメンバーシップが90%オフで、最初の月は¥150でご利用できます(通常価格¥1,500)。チェックアウト時にプロモコードDJCITY2024を使用してください。 最新のリミックスやDJエディット、イントロバージョン、クリーンエディット、アカペラなどをダウンロード...

  • デスクトップアプリを使って曲を一括ダウンロードする方法

    DJcityのサイトが大幅にアップデートし、先週はダウンロードの履歴を見る方法についてのチュートリアルを公開しました。今回はデスクトップアプリを使ってまとめて楽曲をダウンロードする方法を解説します。 まずは、お気に入りのトラックを「クレートに追加」します。クレートボタンを押すと「楽曲を追加し、デスクトップアプ...

  • DJcityで2023年に最もダウンロードされた50曲

    Ice Spice and Nicki Minaj. 以下はDJcityが発表した、年間で最もダウンロードされた楽曲のトップ50のチャートです。このリストはユーザーのダウンロード数に基づいております(DJcityがキュレーションした楽曲ではありません)。 2023年においてDJcityで最もダウンロードされた...

  • ビデオ: 楽曲における、Cleanバージョン vs. Dirtyバージョン

    DJが楽曲をレコードプールでダウンロードする際、放送禁止用語をカットしたラジオ向けのCleanバージョンとオリジナルであるDirtyバージョンの選択肢があります。今週のShare The KnowledgeではDJ TLMが2つのバージョンをどう使い分けるのか、そして両方ダウンロードするべき理由を語ってくれて...

  • DJcityのデスクトップアプリがアップデートされました

    DJcityのデスクトップアプリがアップデートされました。今回の大きなアップデートとしてはユーザーはダウンロードしたファイルのアーティスト、タイトル、バージョン、bpm、ジャンル、キー、年を編集することができるようになりました、 アップデートとしては ・ダウンロードしたファイルをアーティスト、タイトル、バージ...

  • BeatportがBeatport LINKのサービスを発表

    Beatport LINK in Pioneer DJ's WeDJ app (Source: Beatport) DJ向け音楽配信サイトBeatportが月額制の新サービスであるBeatport LINK、Beatport CLOUDについて発表しました。 Beatport LINKは、Pioneer DJ...

  • Youslessが若手Hip-HopアーティストのA-Maを迎えたニューシングル「More Up!!」を公開

    東京を拠点に活動するDJ/プロダクションユニットのYouslessが若手Hip-HopアーティストのA-Maを迎えたニューシングル「More Up!!」をDJcityに公開してくれました。クラブ映えするエナジー高く、聴き心地の良いギターのメロディが特徴的な楽曲となっています。 Youslessは先日、Hous...