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JAPANESE DEEがNY最前線クラブヒットをリポート「Reporting From New York (December.2022)」

NYCを拠点に第一線で活躍する日本人DJの一人、JAPANESE DEEが現地の状況やクラブでヒットしている楽曲をタイムリーにご紹介。「Reporting From New York」2022年12月にピックアップされた楽曲はこちら。

あっという間に12月ですね。今年の1月からこの5曲紹介を続けてきて、無事に1年間続ける事が出来ました。チェックしてくれてる皆さん、ありがとうございます。楽しく残りの1ヶ月を過ごし、良い新年を迎えられますように。そして来年も宜しくお願いします。
今年の大晦日もSkylarkというタイムズスクエアにある箱で年越しパーティーのDJが決まりました。タイムズスクエア周辺の、特にTVで全米に中継される『ball drop』カウントダウンが見られるホテルやクラブはとても人気があります。Skylarkもボールが落ちていくのが見えるガラス張りの箱なので、毎年チケットは一人$600以上なのにもかかわらずソールドアウトになります。この時期DJ仲間の中で、いつも話題になるのが、新年一発目にかける曲ですが、NYはやっぱりJay-Z & Alicia Keysの“Empire State of Mind”がド定番です。2022年に流行った曲の中ではBad Bunny“Titi Me Pregunto”とかBeyonce“Cuff It”とかも相応しい曲だと思います。ぜひ皆さんの推し曲やおすすめのエディットがあれば教えてください。

Quavo & Takeoff  – Hotel Lobby
今月の5曲の先ず始めは、先月11月1日に銃弾に倒れ亡くなったMigosのメンバーTakeoffへの追悼の意味を込めてこの1曲から。今のHip Hopシーンを作り上げたグループと言っても過言じゃない、今の世代にとっては本当にデカすぎるスーパースターの突然過ぎる訃報。Migosナイトを開催できるくらいのヒット曲を世に送り続けたグループMigosの中でも一番のフローと言われていたTakeoff、俺も“Stir Fry”の彼のヴァースとかめっちゃ好きだし、“Narcos”も彼のヴァースまでかける。不仲が噂されていたOffsetが一番辛いんじゃないかと思うし、実際彼の追悼メッセージが一番読んでいて心に響いた。アメリカの銃被害は絶えることがなく一向に悪化している印象を受ける。Takeoffの出身地ジョージア州も事件のあったテキサス州も、銃の所持と携帯が合法の州で、当然銃犯罪が多い州。銃へのアクセスが限られていれば、この尊い命も奪われることはなかったのではないかと悲しく思う。“Hotel Lobby”はQuavo & Takeoffが今年10月にリリースしたばかりのアルバムOnly Built for Infinity Linksから先行リリースされていたシングル。彼の死後YoutubeのTop10にも返り咲いている。これからも彼が残してくれた数々のヒット曲を大切にかけていきます。Rest In Peace Takeoff.

Drake & 21 Savage – Circo Loco
先日リリースされたDrakeと21 SavageのコラボアルバムHer Loss収録の1曲。ラジオでクラブでSNSで聴かない日はないです。史上最悪のアルバムカバーとしても話題になってますが、モデルの女性Suki BabyことQuiana Yasukaさんは日系で、IGチェックしたけど普段はセクシーな感じでビックリ。この曲のThis b!+ch lie ’bout gettin’ shots, but she still a stallionっていうリリックが、Megan Thee StallionをDissってるって事でも炎上してます。(MeganがTory Lanezに撃たれた事件のこと)
Meganのファンや一部のフェミニストからかなり反発されてます。こういった噂や世論を受けて、DJはクラブでかけるのどうしよう?って悩む事多いですよね。今だったらYeことKanye Westも渦中。この人は定期的にキャンセル時期が来ますね(汗)。他にもR Kelly、Michael Jacksonなど。アーティストのプライベートと作品は別と割り切るか、それとも曲を聞いて不快になる人が多いようだったら遠慮するべきか、DJに委ねられるところです。R KellyはかけてるDJ時々いるけど、ドキュメンタリー観た後はリリックと問題が重なり過ぎてて、俺はまだ個人的に無理です。

Lil Uzi Vert – Just Wanna Rock
今一番クラブで盛り上がる1曲です。NJ Clubでとにかく高速BPMでハイエナジーのままぶっちぎる2分。NYCで撮影されたミュージックビデオのUziダンスもネタ(ギャグ?)になっています。このビデオのディレクターは今音楽界を超えて大活躍中のGibson Hazard。Kobe Bryantの追悼ビデオやDiddyの50歳のバースデーパーティーのビデオを手がけています。シネマのような壮大な世界観と高揚感あふれるリズムとエナジーが伝わる彼のビデオグラフィは音楽界やハリウッド、一流企業から引く手あまたです。

Oxlade – Ku Lo Sa
少し前からラジオでもよく耳にするナイジェリア出身のOxladeのAfrobeatsのヒット曲。俺はAfrobeatsが大好きで現場でもよくかけてますが、Tiktokでの流行りも重なってフロアでの反応が最近良くなって来ました。ラジオでもプッシュされています。Ku Lo Sa、クロサって何?って思ったらCloserの事ね。この曲はドイツのColorsっていう新人発掘系のプラットフォームになっているYoutubeチャンネルにフィーチャーされてから一気に流行りました。そのビデオでやったOxladeのダンス(っていうか手振り)がなぜかバカウケし、まんまTiktokで#KuLoSaChallengeとしてバズってます。とにかく声質がスムーズで滑らか。ハマる人多いと思います。

Angel Dior – AIO
スパニッシュの人口が多いNY北部のDyckmanで今1番熱い曲。昔はDyckmanで流行ってもダウンタウンまで流行りがたどり着かない事も多かったのですが、最近のスパニッシュ勢のグローバルな活躍もあり、最新の流行を追うにはDyckmanのドミニカの女の子のケツを追う!っていう、俺にとって天国のようなシーンになりつつあります。ドミニカ共和国のラッパーAngel DiorはこのDembow “AIO”の大ヒットがきっかけで、10月にBad Bunnyのツアーのドミニカ共和国サントドミンゴ公演でゲスト出演するなど世界的に注目を浴びています。最近ドミニカで『一番アツい場所』って言われているのがLa 42というスラム街なんですが、Angel Diorは『El Rey De La 42』(La 42のキング)と言われています。

今年はとにかくラテンが強かった1年。最後までノリ良く元気に突っ走りましょう!

関連: JAPANESE DEEがNY最前線クラブヒットをリポート「Reporting From New York (November.2022)」

JAPANESE DEEがNY最前線クラブヒットをリポート「Reporting From New York (November.2022)」

NYCを拠点に第一線で活躍する日本人DJの一人、JAPANESE DEEが現地の状況やクラブでヒットしている楽曲をタイムリーにご紹介。「Reporting From New York」2022年11月にピックアップされた楽曲はこちら。

10月は3週間日本に帰国していて、東京渋谷Harlem、大阪Ghost、そして地元鹿児島のNice And EasyでDJさせてもらいました。HarlemとGhostはHip Hop中心のパーティーでNice And Easyはラウンジ系のチルな感じで、どのパーティーもNYでやってるまんま自由にやらせてもらったんですが、お客さんの反応が素晴らしくて、本当にDJしてて楽しかったです。NYのクラブはどうしてもボトル客贔屓で、音楽好きの一般のお客さんとのフロアでの一体感を共有する事が難しい事もあるんですが、今回日本でやらせてもらったクラブは、ボトル客やスペシャルゲストに頼り過ぎずに、レギュラーのDJ&MCの方やスタッフの皆さんが毎週良い音楽を最高の流れでコンスタントに提供してて、それが常連客の体に染み付いている感じがしました。最高のパーティーの形だと思います。
コロナも落ち着いて、クラブに本格的に人が戻ってきて、元気なシーンを見れてとても嬉しかったです。今回のブッキングに協力していただいたHazimeさん、Martin君、Lead君、M@ruさん、本当にありがとうございました。そして、『DJ Cityの曲紹介楽しみにしてます!』って声かけてくれた皆さんもありがとうございます。
今回の滞在で一番嬉しかったのはHarlemにNYの戦友K.Da.B君とC2君が来てくれた事。K.Da.B君はNY時代はSelfとかYoung Chowとかと並んで、Hip Hopとかカリビアン系のローカルなパーティーをマイクしながらガッツリ盛り上げてたDJで、帰国してからはヤクルトスワローズのオフィシャルDJとしてアリーナをロックしたり、大活躍中。C2君はRihannaとかJay-Z来るようなパーティーで毎週レジデント任されてて、帰国してからも1OAKとかMadam Wooとか日本の一流のクラブでNYのバイブスを体感できるパーティーを任されてる。本当に二人の事を誇りに思います。
あと、俺が日本で楽しみにしてたのはDJ Danbo君のプレイを見ること。金曜Ghostで共演した後も、京都で土日続けて見に行きました。彼のプレイはゴリゴリのHip Hopはもちろん、ラテンやAfrobeatsもバランス良くかけてて、しかも選曲も客や箱に合わせて変えてて、相変わらず最高でした。
こうして日本で活躍してるアーティストの方々とそのパーティーから、滞在中めちゃくちゃインスパイアされて、良いエナジーをNYに持ち帰ることが出来ました。この DJCityのプラットフォームを通して、少しずつ日本の皆さんに還元して行けるように頑張りますので、これからも宜しくお願いします。

DD Osama & Notti Osama – Dead Opps
NY Drillの次世代希望の星でハーレム出身の兄弟ラッパー。悲しいことに弟のNotti Osamaは若干14歳にして天国に旅立ってしまいました。最近、ちょうど俺はマンハッタンのハーレム地区に引っ越したばかりで、Nottiが亡くなった137丁目駅まで徒歩圏内で、ショックが大きかったです。兄のDD Osamaが引き続きソロのラッパーとして活動を続けているので、応援していきたいと思います。Drakeなどからもその実力は注目され、これからの活躍が期待されます。

Asake – Terminator
ナイジェリアでリリース後すぐに1位を獲得したAsake “Terminator”がNYでも合唱レベルで人気です。Asakeは、アフリカで最も影響力のあるアーティストOlamideによって創設されたレーベルYBNLにサインされ、今年9月にデビューアルバムMr. Money With The Vibeをリリースしていて、今絶好調のアーティストです。

Lil Baby ft. Future – From Now On
4年ぶりの待望のアルバムIt’s Only MeがリリースされたばかりのLil Baby、ハードコアな曲がクラブでも大人気ですが、彼はコミュニティーへのギブバックする活動が評価され、今年Humanitarian Award(人道的な活動を讃える賞)を受賞しています。とてもプライベートなラッパーでインタビュー嫌いとしても有名ですが、今年は彼のドキュメンタリー“Untrapped-The Story Of Lil Baby”が夏にリリースされました。間違いなく今のHip Hop界を代表するスーパースターです。
ずっと前にShade45にもインタビューに来てくれた時は、ポケット一杯にキャンディーを詰め込んでてWhookidにつっこまれてました。今回紹介するこの曲のミュージックビデオは、4月にLil Durk “AHHH HA”を紹介した時に触れたLESにあるセレクトショップ375 Showroomで撮影されています。このお店はYams Dayの商品を担当しているので、来年1月のYams Dayも楽しみです。また、同じオーナーが来年2月にLESにハイエンドアパレルショップESSX(エセックス)をオープン予定でこちらも注目です。

Armani White – Billie Eilish.
TikTokでバズってからしばらく経つこの曲ですが、今ラジオやクラブでプッシュされきちんと曲として流行ってきています。先日Warner MusicのA&Rやってる友達と話したんですが、今レーベルに求められるのは、まさにこのTikTokやSNSでバズった後のフォローアップである、と。例えばTikTokで何百万人って人がXXチャレンジとかのトレンドで曲が使われても、曲が一人歩きしてるだけで、誰もアーティストの名前や活動を知らないまま流行りが終わってしまう事も多い。そこで重要なのがレーベルやラジオの丁寧なインタビューや曲のプロモーション。この曲のラッパーArmani WhiteもDef Jamにサインされて、いろんなプラットフォームで生い立ちや経歴を紹介され、中身のある良いラッパーとして認知されつつあります。かつてはローカルでハイプのあるアーティストを見つけるのがA&Rの仕事だったけど、今は星の数ほどいるSNSで人気でファンベースの確立しているアーティストの中から、ツアーやプロモーションに予算をかけて、レーベルと共にネクストレベルに持っていく価値のあるアーティストを探し出すのがA&Rの手腕の見せ所になっているようです。

Rihanna – Lift Me Up
2016年にリリースされたAnti以来6年ぶりの待望のリリースとなるRihannaの新曲はBlack Panther: Wakanda Foreverのサウンドトラックに収録予定のこの曲。Black Pantherの主役で大腸癌により惜しくも命を落としたChadwick Bozemanへの追悼曲です。バラードで、クラブバンガーにはならないかもしれないですが、今年一番の重要曲になると思います。Rihannaは今シーズンのSuper Bowlのハーフタイムショーが決まっていて、どんなテーマでやるのかすごく楽しみだったんですが、この曲がメインに、Black Power全開で行くのかも。先日Elon MuskがついにTwitterを買収したというニュースが入りました。以前から言論の自由を掲げ、Twitterから制限をかけられていたアカウントを解放すると宣言していた事を受け、Twitterは差別的、攻撃的な内容のTweetsで一時的に溢れているようです。今までも1歩進んで2歩下がる、って印象のアメリカの人種問題ですが、自分はやっぱりエンターテイメントってものすごいパワーを秘めていると思うんです。Rihannaのハーフタイムショー、そしてBlack Panther: Wakanda Foreverと、音楽や映画の力を借りてアメリカが抱えるこの問題がまた1歩、着実に前に進めることを願います。

関連: JAPANESE DEEがNY最前線クラブヒットをリポート「Reporting From New York (October.2022)」

JAPANESE DEEがNY最前線クラブヒットをリポート「Reporting From New York (October.2022)」

NYCを拠点に第一線で活躍する日本人DJの一人、JAPANESE DEEが現地の状況やクラブでヒットしている楽曲をタイムリーにご紹介。「Reporting From New York」2022年10月にピックアップされた楽曲はこちら。

Ice Spice – Munch (Feelin’ U)
NYのクラブでかなり反応良いのがこの曲。女の子が合唱するレベル。去年tiktokの”Buss It”チャレンジでバズってから、何かと話題が絶えないアップカマーなBronx出身のラッパーです。これからの活動が楽しみです。

Glorilla, Cardi B – Tomorrow 2
Cardi Bがハマった時のエナジーは本当に鳥肌もんですよね。この曲は皆んな1回聴いたら『あぁ、流行るな』って感じるはず。今年出た曲の中でもこのCardiのバースはトップレベルだと思います。Ice Spiceの”Munch”とセットでかけるDJも多いです。(CardiのヴァースでThat ni**a a munch and he gon’ eat me like a mangoって言ってる箇所があるので)ここで8月に紹介したGlorillaの”FNF”が今でもクラブで一番ウケる1曲ですが、この曲も既にフロア受け抜群です。CMGにサインされる前は、音源もビデオもまだまだ荒かったGlorillaだけど、ここ最近のレベルアップが目まぐるしいです。

Elton John & Britney Spears – Hold Me Closer
1971年リリースのElton John ”Tiny Dancer”のリメイクで、Britney Spearsとのコラボが注目を集めている1曲。Top40やダンスミュージックが中心のパーティーで盛り上がっています。成年後見人だった父親を訴えた裁判で勝利を収め、色々乗り越えてきたBritneyがエンターテイメント界にカムバックしたということで、彼女の新たな出発をサポートするお祝いムードが漂っています。ただ、オートチューンが強く、Britneyのボーカルが映えないのが少し残念です。

Tems – Free Mind
ナイジェリア出身の女性アーティストTemsの2020年リリースの曲ですが、今ピークを迎えています。クラブでもよくリクエストされますし、ラジオでもヘビロテされています。 Burna Boy – Last Lastもじわじわと流行ってきて、今ではパーティーで一番盛り上がる1曲になっています。アメリカ国外の曲は、この様に時間をかけて浸透していくことが多くて面白いですね。Afrobeatでは、リリースされたばかりのFireboy DMLの新しいアルバムも注目です。

Young Devyn & Fivio Foreign – Outside
最後の一曲はサポートの意味も込めて、NYのDrillシーンを引っ張って行って欲しい二人のラッパーのコラボ曲です。9月にNYCでRolling Loudが開催されてBK Drillを代表するFivioや若手注目のYoung Devynも出演し大成功を収めたのは嬉しかったんですが、残念だったのはNYPDからRolling Loudの主催者に一部のDrillラッパーの出演を控えて欲しいと要請が入り、何人か急遽出演出来なくなってしまったんです。最近、ヒップホップのリリックが法廷で証拠として使われたり、今回の様に警察がアーティストの活躍の場を制限したり、Hip Hopコミュニティーにとってかなり懸念される状況が続いています。この件に関して、Hip Hopのファンはアーティストの表現の自由が尊重され、作品と個人は区別されるべき、という意見が多いと思いますが、今回はちょっと踏み入って、Drillの問題点について黒人のBLMの人権活動家の友達と何回か話をしてみました。ギャングスタラップや最近のDrill音楽が問題になっている理由は、バイオレントなリリックの矛先になっているのが、同じ黒人(スラム街、マイノリティも含む)コミュニティであることです。過去にもSex PistolsがUK王室に対して、またはNWAが警察やLA暴動に関してかなり過激な内容の曲をリリースしていますが、それらは共通して富裕層贔屓の政府の政策や差別問題、警察の暴力などに対してであって、同じコミュニティに向けてバイオレンスを煽るようなジャンルや曲は今までなかったのではないでしょうか?そしてもう1つ問題なのは、SNSなどを通してアーティストとファンの距離が未だかつてないほど近いことです。昔はレーベルのフィルターを通して作品を作品として、リスナーは適度な距離を保ちつつ消化して受け入れることができていましたが、今は特に感性の高い若年層がリリックの内容を『ライフスタイル』としてそのまま吸収してしまっているのが問題になっています。子供がいる黒人の友達何人かに『子供にDrill聴かせる?』って聞いてみたら、全員『絶対聴かせたくない』って即答です。アジア人の俺にとってDrillは、特にクラブで爆音でかけた時の迫力とエナジーは唯一無二で大好きですが、自分のプラットフォームをどのように使って、どんなメッセージを伝えていきたいか、っていうことはアーティストとして常に考え意識しなければいけないと思っています。この問題に関してはもっと勉強しながら、Drillの良さを安心して受け取ってくれるオーディエンスに向けて発信していける様に心がけていきたいと思います。

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JAPANESE DEEがNY最前線クラブヒットをリポート「Reporting From New York (September.2022)」


NYCを拠点に第一線で活躍する日本人DJの一人、JAPANESE DEEが現地の状況やクラブでヒットしている楽曲をタイムリーにご紹介。「Reporting From New York」2022年9月にピックアップされた楽曲はこちら。

Vybz Kartel – White House
9月の最初の月曜日はレイバーデーというアメリカの祝日ですが、NYCに住むウエストインディアン(カリブ海諸島の国の人達の総称)にとっては盛大なパレードの日です。元々トリニダード&トバゴのSocaのパレードのハズなんですが、なんといってもジャマイカの移民が多いNYではレゲエにかなりおされている感があります。という事で、9月の5曲はレゲエ多めで紹介していきます。今ちょうど友達がジャマイカに行ってて、しかも彼女の旦那はセレクターということもあり、かなり最新のリアルな現地情報をお届けできます!『一番流行ってる曲何?』って質問に真っ先に返ってきたのが、1曲目紹介するダンスホールキングのVybzです。全く意外性がなくてごめんなさい。刑務所に服役しながらずっとヒットを出し続けていてすごいですよね。この曲のパンチラインは「Real like Bounty (Killer), Nuh lie like Beenie (Man)」、吹きました(笑)。相変わらずの俺様節が素晴らしいです。

Shan O – Dark Room
ダンスホールヒット2曲目は、この曲。ストレートに良い曲です。ジャマイカではずっと人気だったこの曲ですが、ちょっと前にDJ Khaledがソーシャルメディアでシェアしてアメリカでも人気度が上がり、ジャマイカでも再熱したらしいです。Khaledの電波の張り具合とハイプの作り方、そしてアーティストをフックアップしていく姿は本当にDJとして尊敬します。彼の新しいアルバムGod Didは来月紹介させてもらいたいと思いますが、JadakissのInterludeがめちゃくちゃかっこいい!この間Yonkersで撮影されたビデオも早速リリースされました。

Brysco – Code
この曲はNYでもまずまず反応ありますね。ミュージックビデオで使われたEnsureっていう白い液体の栄養ドリンクを女の子の顔にぶっかけするシーンがバズって、真似する人続出で問題になってます(笑)。フロアウケはバッチリ。このドリンクを飲んでみたいって言ったらアメリカ人の友達に笑われました。どうやら老人ホームとかで食事に出る感じらしいです。曲の初めに“White people blood I put in guard ring”って言ってます。俺のガードリングを白人の血に浸す、って。ガードリングはお守りのようなもの。ジャマイカのギャングスタは、アフリカにルーツを持つ黒魔術的なOBIAのパワーを持ったリングなどのアクセサリーを護身として身につけるらしいですよ。全体的にギャングのライフスタイル(Code)についてラップしてます。スポーツカー乗ってる人はぜひPortmoreと韻を踏んでいるSport modeにギアチェンジして爆音で聴いてみてください。

Central Cee – Doja
ラスト2曲はレゲエ以外で。この曲なんですが、アホみたいに流行ってます。なんなのこの『アメリカで売れたいんです』っていうタイトルと内容(笑)。
なんと言ってもこの曲は歌い始めのパンチラインがばかウケ。How can I be homophobic? My b!+ch Is gay (どうやったら俺が同性愛者を嫌ってると思うわけ?俺の女は同性愛者だぜ?)プロデューサーはLiTek & WhYJay、Dr.DreプロデュースのEve & Gwen Stefaniの”Let Me Blow Ya Mind”をサンプルしてます。この曲はHip Hop以外のオールジャンルのクラブや、EDM中心のクラブでもとにかく盛り上がりますし、tiktokでも流行ってます。

Karol G – Provenza
今年の夏は本当にラテン勢が圧倒しました。先日MTVのVideo Music Award(VMA)ではArtist Of The Yearにラテンアーティストとして初めてBad Bunnyが選ばれました。またここで4月に紹介した曲”Envolver”がヒットしたブラジルのスラム街育ちのAnittaもBest Latinに選ばれ感動的なスピーチをしました。アメリカの音楽シーンではK-Pop、Afrobeatはもちろん、ラテンの勢いが止まりません。コロンビア出身のKarol Gもラテンを代表するアーティスト。過去に曲でコラボしているラッパーのAnuel AAと付き合っていて、ラテン界のパワーカップルです。彼女の過去の曲で、彼女の愛称でもあるBichotaは彼女オリジナルのスラングで、女性が持つセクシーさ、強さ、愛らしさを意味してるらしい。彼女の歌や活動を通して、全ての女性がモチベーションを高めて、自信に溢れた『Boss B!+ch』になってもらいたい、ってインタビューで言ってました。元々はプエルトリカンのBichoteがドラッグディーラーを示すスラングで、それの女性バージョンって感じでしょうか?日本のBichotaの女性も彼女の音楽聴いてポジティブに活躍してもらえたら嬉しいです。開放的で、セクシー、そして明るくエネルギッシュなラテン音楽はコロナの規制が完璧に撤廃されたNYの夏のサウンドトラックでした。これから迎える秋冬は大型ヒットが毎年生まれる時期、どんな曲が台頭して来るか楽しみです。

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NYCを拠点に第一線で活躍する日本人DJの一人、JAPANESE DEEが現地の状況やクラブでヒットしている楽曲をタイムリーにご紹介。「Reporting From New York」2022年8月にピックアップされた楽曲はこちら。

GloRilla – F.N.F. (Let’s Go)
この夏ナンバー1のTwerkソング!メンフィス出身の女性ラッパーGloRillaのヒットソング “F.N.F.”(F*ck Ni99a Free)がストリートで大人気。この曲のヒットがきっかけで彼女はYo GottiのレーベルCMG  Imprintにサインされました。英語が分からなくても『レッツゴー』というキャッチーなフックなので、日本でもフロアでウケそう。このお金のかかってない、手作り感満載なミュージックビデオがたまらなくゲトーで最高です。ワンヒットワンダーで終わらないように頑張ってもらいたいです。

DJ Snake – Disco Maghreb
先月の記事で、Amapianoっていうジャンルが流行ってきてるって書いたけど、もう一つ流行ってきていて注目を集めているのがアラブ(中東)音楽。そして最高のタイミングでリリースされたのがDJ Snakeのこの曲。ブルックリンの有名なクラブElsewhereでは一晩中アラブ音楽がかかるパーティーがあるほど。Hookah(水タバコ/シーシャ)もNYのクラブでは前から人気だけど、Hookah吸いながらアラビアン音楽聴いて踊り狂うパーティーも面白い。

Cardi B feat. Ye and Lil Durk – Hot Shit
アーティストとタイトルだけで、ヒットしないとまずいレベルの圧を感じる一曲w。この曲はWAPのリリース前に既にトラックとCardiのヴァースは出来上がってて、何年も寝かせてFeaturingとリリースの機会を待ってたらしいですね。本人の意図せず“WAP”と“UP”がtiktokでバズってしまって、ヘイターから『tiktok狙いの曲しか出せないラッパー』と言われムカついたCardiがtiktokウケしないように本気で作ったのがこの曲らしいです。確かにキャッチーなHookもないですね。プロデュースはTravisの大ヒット“Sicko Mode”を手がけた一人のTay Keith。彼がプロデュースしたNAV “Never Sleep“も流行りそう。“Hot Shit”のカバー写真はLil KimのアルバムNotorious K.I.M.のプロモ写真に寄せてて、製作中のアルバムではLil Kimとのコラボも企んでるとか。女性ラッパー勢本当に元気があって良いです。

Burna Boy – It’s Plenty
5月の5曲で紹介したPheelz & BNXN (Buju) “Finesse”に通じる『YOLO』(一度きりの人生、楽しもう)的なメッセージで、すごくポジティブな気分になれる1曲。Burna BoyがAfrican GiantのプロモでPower 105のBreakfast Clubに出演した時のインタビューが俺にとっては印象的だったんだけど、彼のお祖父さんはなんとFela Kutiのマネージャーを務めてたらしい。そんな、生まれも育ちもアフリカの彼が、幼い時に聴いていたのがDMXとかアメリカのHipHopだったらしい!でも成長とともに、アフリカ人である自分をレペゼンする音楽を探求し、アイデンティティを確立していった、って言ってて面白いな~と思ったんです。アフリカンアメリカンは、奴隷としてアメリカに渡った過去があり、アメリカ人として生まれ育つものの、アフリカに自分のルーツを探すことがアイデンティティの確立の過程で経験する人も多いと聞きます。何か、アフリカがルーツの音楽がアメリカのメインストリームで流行っているのは、必然だったのではないかと感じます。

Beyonce – Renaissance (アルバム全曲)
世界同時リリースされたBeyoncéの待望のニューアルバム!リリースされた夜、俺は深夜2時まで仕事だったんだけど、帰ってきてから嫁とリスニングパーティーをした。リリースデー2日前にリークされちゃったけど、世界中のファンがリリースデーまでリークしたアルバムをボイコットして、リリースデーを死守したという、前代未聞のムーブメントが起きました。リリース後秒速でiTunes でアルバム1位獲得、Spotify でも“Summer Renaissance”がToday’s Top Hitで1位に。このアルバムはまるで映画を見てるようで、最初から最後までしっかり通しで楽しみたい作品。曲から曲へのトランジションもいたるところに感じて、DJ的にはこのままアルバム通しでかけてクラブプレイ成立するんじゃないか?って思っちゃう。全体的な印象は、シングル“Break My Soul”でも感じたLGBTQコミュニティーからタレントの積極的な採用とリリックでのシャラウトが目立ちます。特にBlack Queerのiconや文化にインスパイアされラブを送ってる印象。クラブでかけようとセットに入れてたのは“Heated” “Move” “Cuff It” “Pure/Honey” “Summer Renaissance” “Energy” “Thique”だったんだけど、実際に客からのリクエストは“Church Girl”が多く反応も一番。Act 2、 Act 3も本当に楽しみです。

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NYCを拠点に第一線で活躍する日本人DJの一人、JAPANESE DEEが現地の状況やクラブでヒットしている楽曲をタイムリーにご紹介。「Reporting From New York」2022年7月にピックアップされた楽曲はこちら。

Beyoncé – Break My Soul
先月はプライド月間 (Proud Month)といってLGBTQの人たちの権利の啓発を促す活動やイベントが開催され、LGBTQコミュニティーへのサポート運動が活発な月です。そんな中投下されたのがBeyoncéがリリースを発表してるアルバムからの先行シングル“Break My Soul”、既にLGBTQアンセムになっています。『The queens in the front and the Doms in the back』って、Beyoncéクラスの大物アーティストがLGBTQコミュにストーレートにラブを送ってるのが素晴らしい。FeaturingにはLGBTQ界を代表するアーティストでニューオリンズバウンスを牽引するBig Freedia、過去にはBeyoncé “Formation”でもコラボレーションしています。The-Dreamがプロデューサーで、90年を代表するハウスのクラシック “Show Me Love”をサンプルしているダンスチューン。Queen Bey is BACK!!

Drake – Sticky
Drakeが先月サプライズでリリースしたアルバム『Honestly, Nevermind』からの一曲。このアルバムは14曲中6曲がメリーランド育ちのGordo (DJ Carnage)によるプロデュースで、BmoreとJersey Club色が強く、この曲が特にNJ、Philly、Baltimoreエリアのクラブで流行っています。“Currents”ではベッドがきしむ音が使われてて、これはTrilleville “Some Cut”とかでも使われるHipHopヘッズには馴染みのあるサウンド……と思いきや、20代の子たちにこの話したら、『俺のベッドこんな音しねぇけど?』って反論された。確かに最近のIKEAのベッドとか、全然きしまない(笑)。このDrakeのアルバムはハウス、Bmore、Jersey Clubのエッセンスが強くて、リリース当時は賛否両論激しかったけど、何度も聞くうちに受け入れられてきてる感じ。既にJimmy CooksMassive、そして(昔の)ベッドがきしむ音のCurrentsも流行ってます。

Bad Bunny – Me Porto Bonito
5月にリリースされてからバカ流行りしているBad Bunnyのニューアルバム『Un Verano Sin Ti』からもう一曲だけ紹介させてください(笑)。 Hotな曲が沢山収録されていますが、その中でもこの曲は先月ピックした2曲と同じぐらい現場でリクエストされます。日本のDJの皆さんもクラブでヘビープレイしてみて下さい!

Lojay & Sarz ft. Chris Brown – Monalisa (Remix)
アップカミングなナイジェリア出身のアーティストLojayと、同じくナイジェリア出身のプロデューサー/アーティストで、過去にWizkidのプロデュースの経験もあるSarzのコラボ曲。俺も結構前からオリジナルをプッシュしてたけど、客の反応はいまいちでした。でもChris BrownのRemixが一ヶ月前ぐらいにリリースされてから一気に一般層まで認知されて確実にフロアウケしてきてます。この曲はサウスアフリカのAmapianoってジャンルのシグニチャーサウンドでもあるLog Drumを使ってます。爆音で聴くと最高っすよ!Amapianoも最近やっとアメリカでも認識されるようになってきてます。俺もまだまだ勉強中で、昔からの俺のNYの戦友@eqknock君が詳しいので、色々教えてもらってます。興味がある方は彼のラジオをチェックしてみて下さい。先日あったBET Awardでは、Fireboy DMLが “Peru”をパフォーマンスして、BET Awardで初めてパフォーマンスしたアフロビートのアーティストとして歴史に名前を刻みました。アフロビート、Amapianoと、アフリカ勢の勢いは留まることを知りません。

City Girls ft. Usher – Good Love
これは7月1日にミュージックビデオがリリースされたばっかりで、流行っていると言えば嘘になるけど、今のNYの流行りに乗った間違いない一曲。今年NYではとにかく市のバックアップもあってローラースケートがめちゃくちゃ流行ってます。ロックフェラーセンターの冬の風物詩のアイススケートリンクが、夏の間ローラースケートリンクになったのが後押しして、セントラルパークのアイススケートリンクもローラースケートリンクとしてオープンしたばかり。ロックフェラーセンターのリンクのお披露目会にはUsherがゲストとして来てて、めっちゃレベルの高いローラースケートのスキルを披露してました。この曲のミュージックビデオではアトランタに実在する有名なスケートリンク[Cascade]が使われています。このへんのカルチャーを知るにはT.I.が主役を演じた映画[ATL]とかがおすすめ。7月4日はアメリカの独立記念日。家族みんな集まって新旧のグッドミュージック聴きながらBBQして、夜は花火見て(or違法花火を自分でやって怪我して)過ごす祝日で、リリースのタイミングもバッチリ。最近、ガンコントロール、人工中絶、インフレ、などなど暗いニュースや法改正が続いています。なんか90年代EPMD、NWA、Public EnemyなどのHipHopとハウス音楽がクラブを席巻してた時代と今少しシンクロする感じがしてならない。権力へ反抗するHipHopと、暗い世情からの一時的なエスケープになるダンスミュージックがバランスよく流行って来ています。

関連: JAPANESE DEEがNY最前線クラブヒットをリポート「Reporting From New York (June.2022)」

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NYCを拠点に第一線で活躍する日本人DJの一人、JAPANESE DEEが現地の状況やクラブでヒットしている楽曲をタイムリーにご紹介。「Reporting From New York」2022年6月にピックアップされた楽曲はこちら。

Bad Bunny – Titi Me Preegunto
先月リリースされたばかりのBad Bunnyの新しいアルバム『Un Verano Sin Ti』が流行りすぎててやばいです。長すぎた冬が終わり、いろんな規制がなくなって初めての夏を迎えるNYでは、もうこのアルバムのトロピカルでFeel Goodなバイブスがハマりすぎててとにかく最高。Bad Bunny本人も、このアルバムは夏にビーチで聴いて欲しいってインタビューで言っててリリースのタイミングも計画されていたようです。今月の5曲を何も考えず選び始めたら全曲このアルバムからの曲になって、さすがに選び直しました(笑)。ホント絞るの難しいくらい全曲推しですが、多分自分のキャラ的にはラテンのクラブやストリップクラブで流行ってるのを知りたい方が多いと思うので、その切り口だとこの曲と次の”Party“がダントツ盛り上がってます。彼はプエルトリカンですが、この曲はDembow調の一曲。スパニッシュ分からなくてもVIP VIPって言ってるのが聞き取れると思うんだけど、たくさんガールフレンドがいて、VIPでパーティーしてセルフィー撮って♪っていうパーティーチューンです。プロモーションビデオでは彼のリアルライフの彼女が花嫁役で登場してます。

Bad Bunny – Party
先月友達のバースデーパーティーをホテルの一室を貸し切って、ストリッパーを呼んでお祝いしたんだけど、ドミニカンとプエルトリカンのストリッパーの子たちがこの曲大好きーって何度もリピートしてました。曲自体がキャッチーなのもあるけど、なんといってもfeaturingについてるRauw Alejandroの人気がすごい。前に紹介したRosaliaの彼氏です。このアルバムではfeaturing陣もかなりアツい。コロンビアのBomba EstereoやプエルトリコのBuscabullaなど、アンダーグランドのアーティストもフックアップしています。アルバムを通して他のラテンアーティストにプラットフォームを提供していて、Bad Bunnyがラテン界を背負ってる感が溢れてます。本場ラテンのファンも唸らせるアルバムで、今年の夏一押しです。

Black Sherif – Kwaku The Traveller
俺の友達のパーティーで盛り上がってる曲なんだけど、身内ネタをDJcityで紹介していいのかな?と心配になって色々調べたら、ちゃんとバズっているみたいなので自信をもって紹介します。この曲が一気に世界的に広がったのは3Music Awardsっていうガーナの音楽の祭典でのパフォーマンス。あんなに人工の雨を降らせるパフォーマンス予定だったのにウォータープルーフじゃないマイクを使っていたという土臭さがまた良い(笑)。そして先月オフィシャルビデオがYoutubeにアップされて更に噂になってます。なんといっても”Of Course I Fucked Up”と潔く自分の(若い時の)過ちを認める歌詞がカッコいいと評価されているようです。アメリカではHBOのTokyo Viceが流行ってましたが、アメリカ人の友達が『ヤクザが間違いを詫びて改める文化が素晴らしい』と言ってました。ほんと、アメリカ人にはぜひ見習ってもらいたい風習です。Black Sherifはガーナ出身でクロスオーバーしたアーティストですが、ドリルを取り入れたり変わり種で面白いですね。

Future & Drake – I’m On One
あれ、このタイトルの曲昔なかったっけ?ってみんな思いましたよね(笑)。FeaturingでついてるDrakeが同じくfeaturingでついてた、DJ Khaledが2017にリリースしたヒット曲名と一緒です。Futureの最新アルバムNever Liked Youではこの曲と”Wait For You”の2曲がクラブでウケが良いです。トラックはアップカミングなプロデューサーTorey Montanaが担当。この曲をきっかけに一気に人気になっていく確率大です。この曲も今年の夏NYでよく聴くことになりそう。

El Alfa – Gogo Dance
もはや説明不要なDembow界不動の人気アーティストの一人El Alfaのヒットソング!曲のタイトルを見ただけで聴かなくてもパーティーチューンなのが想像できちゃう感じです。しかもFeaturingには以前ここで紹介した(“Uva Bombom”)、同じくDembow界の大ボスRochy RDを迎えてます!この曲はTikTokでもバズっていて、フックの後のBai-la-e, ay, ay-ay-ay, ay♪って言ってるところから決まったダンスがあって、特に(セックスしすぎて)『股間が破裂しそう~』って言ってるところが面白いっす。皆さん楽しい夏をお過ごしくださいー!

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NYCを拠点に第一線で活躍する日本人DJの一人、JAPANESE DEEが現地の状況やクラブでヒットしている楽曲をタイムリーにご紹介。「Reporting From New York」2022年5月にピックアップされた楽曲はこちら。

Jack Harlow – First Class
2007年にリリースされたFergie feat. Ludacrisのヒットソング”Glamorous”をサンプル。この曲はクラブとかソーシャルメディアで既に聴きすぎて、そろそろ飽きつつあるレベル(笑)。 IGのストーリーでラグジュアリーな物とか場所をアップする時によく使われてるよね。俺も確実にその一人(笑)。Jack Harlowの勢いはとどまる所を知らず、次のDrakeクラスの大物になる予感!アルバムCome Home The Kids Miss Youは今年のサマーアンセムになりそうです。

Daddy Yankee, El Alfa & Lil Jon – Bombón
Reggaeton界のボスDaddy Yankeeの最後のアルバムとなる“LEGENDADDY”からのカット。Dembowの人気アーティストEl Alfaと、パーティーソングの代名詞アーティストLil Jonとのコラボ。聴く前からアゲアゲなのが想像できちゃう感じで(笑)。NYC生まれのPRの友達に意味を聞いたらBombónはチョコレートやキャンディの意味で、この曲では綺麗な女の子を意味してるって言ってました。先にリリースされてる“Hot”はTop 40のパーティーで既に人気。Bombónは今はまだスパニッシュの人達からリクエストが多いですが、まだまだ伸びると思うので早めに紹介しときます。2曲まとめてチェックしてみてください。

Goya Menor & Nektunez – Ameno Amapiano (Remix) (You Wanna Bamba)
ガーナ出身でアトランタを拠点に活動しているマルチタレントのNektunezの“Ameno Amapiano”に、アンダーグラウンドで活動していたナイジェリア出身のAfro-FusionのアーティストGoya Menorをfeaturingに迎えたRemixが、TikTokのダンスチャレンジの影響もありクラブでも流行っています。Nektunezはシンガー、ソングライターまでこなしちゃうやり手のプロデューサー。

Pheelz & BNXN (Buju) – Finesse
最近の俺のハマり曲。1晩2回は必ずPlayする(笑)。ナイジェリア出身のプロデューサー/アーティストのPheelzとAfro-Fusionのシンガー/ソングライターBNXN (Buju)とのコラボソング。PheelzはナイジェリアのTopプロデューサーでFireboy DML、Olamide等々の曲を手がけている。BujuはWizKidのヒットソング“Mood”にもフューチャリングされていますね。タイトルを間違えて覚えてる人が多すぎて、リクエストは大抵“Folake”とか“If I Broke Na My Business”って言ってくる人が多い。TikTokでも#FolakeChallengeが流行ってたからかな。『金はないけど人生楽しもうぜ!』っていう、コロナ後の今の現実にぴったりの一曲。今世界で一番Shazamされてる曲の一つらしいです。

Fivio Foreign & Queen Naija feat. Coi Leray – What’s My Name
Brooklyn Drillを牽引するラッパーのFivio Foreinの今年出たアルバム B.I.B.L.E.の収録曲。最近90’s~2000’sの曲をサンプルするのがHip-hopの中で流行ってますよね。これもその1つ。1999年にリリースされたDestiny’s Childの大ヒット“Say My Name”をサンプルしてる。Destiny’s Childの“Say My Name”は白人さんやアジア人にも人気だし狙ってるな~って思いました(笑)。2005年のNe-Yoのヒットソング“So Sick”をサンプルしたFivioの“Love Songs”の方も同じパターンですよね。しかもこっちはNe-Yo本人がフューチャリングされているので、オリジナルからのスイッチがしやすいのでDJにはおすすめです。
FivioはPop Smoke亡き後、NYのHipHopを代表するラッパーになりました。Drillの音楽のバイオレントな要素がNYの治安の悪化を助長しているとNY市長から非難されるほど影響力は良くも悪くも計り知れません。FivioはDrillのコアな部分を残しつつも、ポップやレゲエなどの様子を取り入れてこれからDrillを進化させて行けるパワーを持っていると思うので、今後の活躍に期待してます。

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Anitta – Envolver
NYではCovid関連の規制が撤廃され、飲食店でもマスクの着用やワクチン証明証の提示の義務がなくなり、街は観光客で溢れてクラブも週末は外に行列が出来る光景が戻ってきました。海外の観光客も戻ってきていて、この間ブラジル人の観光客からしつこくリクエストされたのがブラジル出身のAnittaのこの曲。グローバルチャートでずっとランキングに入っていましたが、TikTokのダンスチャレンジの人気で更に勢いが加速してます。

Ryan Castro & Feid – Monastery
コロンビアンのレゲトンアーティストRyan CastroFeidのコラボ。レゲトンといえばプエルトリコを思い浮かべる人が多いと思いますが最近はコロンビアのレゲトンも人気です。以前紹介したBlessdもコロンビア出身ですね。DJcityのこの連載をやらせてもらうようになってから、昔ブログを書いてた時のようにリリックを意識して調べるようになったけど、スパニッシュの曲は調べても情報量少なくて完璧に理解出来ないっす。クラブで流行ってます、で説明終わり(笑)。

Lil Durk – AHHH HA
はいHood sh*tきました~(笑)。Youngboy Never Broke Againの「Bring the Hook」へのアンサーDissソング。プロデューサーはSouthside。NYのインダストリーのパーティーでウケの良い曲です。Lil Durkといえば最近、俺の友達がやってるLESにあるイケてるセレクトショップ375Showroomで、新曲「Petty Too」のミュージックビデオの撮影がありました。ラッパーやスポーツ選手のファンが多い、NY来たら絶対行ったほうが良いお店の一つ。

Rosalia – Chicken Teriyaki
フラメンコの歌姫の異名を持つスペイン出身のシンガーのRosalia
先月待望のニューアルバム『Motomami』がリリースされ、The Weekndをフィーチャーしたバチャータの”LaFama”、引退を表明したレゲトン界のキング、Daddy Yankeeの曲をサンプルした “Saoko”、 TikTokでダンスチャレンジがバズってる”Chicken Teriyaki”、 そしてアーティスティックで官能的な”Hentai”のシングルがリリースされ、彼女のタレントの幅広さに感服。アルバムタイトルのMotoは日本語で『ハードコア』でスペイン語で女性って意味の『Mami』と合わせて『強い女』って意味、ってインタビューで言ってて、漢字で言うと『基』『元』とかの事なんだろうと思う。
クラブでは”Chicken Teriyaki”がダンスチューンとして人気だけど、俺は”La Fama”が好き。よくラッパーがドラックやHustleを恋人に例えてリリック書くけど、この曲はFame(名誉)を女性に例えてる、なかなか粋な曲。ミュージックビデオを観るとFameに目が眩み、最後には刀でズタズタにされる男(The Weeknd)が面白い。

Lil Nas X & Jack Harlow – Industry Baby
誰もが一発屋で終わると思っていた?願っていた? Lil Nas Xと、Jack Harlowのスマッシュヒット。この曲は俺はハウスバージョンをよくクラブでは使います。すごく反応が良くて、客からDMで『このバージョンどこでゲット出来る?』ってわざわざ連絡があったほど。2019年リリースの”Old Town Road”は、前代未聞の『カントリーラップ』で噂になりました。彼はメジャーな男性HipHopアーティスト・ラッパーとしてはまだまだ数少ないゲイ(同性愛者)を公にしたアーティストで、2021年のBET Awardではパフォーマンス中に男性ダンサーとキスしてOGのHip Hopヘッズを震え上がらせました(笑)。 何かと革新的なラッパーで、これからも彼の作品や動向に注目したいと思います。フロリダ州では『”Don’t Say Gay” billゲイって言っちゃダメ法案』が可決して問題になっている中、ゲイを公表してる彼にはHip-Hop界を代表して頑張ってもらいたいです。Jack HarlowはDJ Dramaが以前Shade 45に連れて来た時に会ったけど凄くいいやつ。あの時はまだ全然売れてなかったけど、一気にスターダムに駆け上がりましたね。俺の大好きな映画のWhiteman Can’t Jumpのリブートで俳優デビューもするらしく、とても楽しみです。

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Fivio Foreign, Ye (Kanye West) & Alicia Keys – City of Gods
2月にリリースされたDonda 2収録のNYアンセム。NYの地下鉄乗ってると車内の手すりを使ってダンスパフォーマンスして乗客からチップを荒稼ぎする奴らが時々乗り込んで来るんだけど、彼らの曲のセンスは毎回なかなか的を得てて感心する。最近は確実にこの曲使ってるね。このアルバムのリスニングパーティー”Kanye West: Donda Experience Performance”はマイアミのスタジアムからライブ中継されて俺もストリーミングで観た。昔はラジオDJとか関係者を招待して内輪でちっちゃくやってたリスニングセッションをコンサート形式でやるのも、自身のストリーミング機器でしかリリースしないって言うビジネスも本当に斬新で、Kanyeは時代を牽引するパイオニア的存在であり続けていてすごいと思う。Netflixのドキュメンタリー”jeen-yuhs”も合わせて観るとさらにオススメです。

Gunna ft. Drake – P power
Gunnaのニューアルバムのイニシャルリリースの際は、『Drakeとやった曲が入ってない!』って世間がざわつきましたが、1週間後に後追いリリースされたファン待望の一曲。Drakeがフューチャリングで、トラックはMetro Boominという破壊力半端ない一曲。タイトルPussy Power。ストレートすぎ。笑 MetroといえばFuture “Karate Chop” “Jumpman” “Mask Off”とか、今でもかかる大ヒット曲を数多く手掛けてきたプロデューサー。特有のエフェクトを使ったホラー映画のような不気味なサウンドと808の太いベース音を使ったTrapがお家芸。Trapの一ジャンルを築いたといっても過言じゃない。この曲はDonna Summerをサンプルしていて、タイトルから容易に想像できるエロエロのセックスソング。この曲もクラブで、特にストリップクラブのパーティーでヘビープレイしたいです。

Latto – Big Energy
女子に大人気のガールパワーソング。Tom Tom Club “Genius of Love”をまんま使いのトラック。このサンプルはMariah Carey “Fantasy”でも使われてて、DJはFantasyクイックで挟んでからBig Energyかけたり遊べるから重宝してる。Moneybagg Yo ”Wockesha” とか、オリジナル曲(DeBarge “Stay With Me”)→90年、2000年代にオリジナルまんまサンプルして流行った曲(Biggie “One More Chance”)→同じサンプルで新曲リリース(”Wockesha”)って流れが多い。各世代に響くから、単純にヒットしやすいですよね。

Rochy RD ft. El Chuky De Lewa – Uva Bombom
Dembowといえばこの人Rochy RD! スーパー人気なアーティストの1人。Dembowリクエスト来ちゃったら彼の曲かけとけばとりあえず大丈夫。Dembowって何?って訊かれたら簡単に言うと『ドミニカのHip Hop』。Reaggetonは文化も成熟していて、ポップっぽいのとかR&Bっぽいのもあって幅広いけど、Dembowはこの通り男汁全開の汗臭い曲ばかり。かけすぎると女の子がフロアから消えていくから注意が必要(笑)。ニューヨーク、マンハッタンの北端のDyckmanはドミニカの移民が多く住んでいるエリア。このエリアでDJする時はDembow8割、Hip Hop2割くらいの割合で選曲します。遠いけど、このエリアはとにかくセクシーな女の子が沢山いるからブッキングされたら頑張って行きます。DJしてる最中にAmber Roseみたいな客から耳元で曲のリクエスト囁かれて耳たぶかじられた思い出があります。

Farruko, Victor Cardenas & DJ Adonis – El Incomprendido
FarrukoといえばPepasの大ヒットで一気に世界的に有名になりましたよね。その彼が2021年リリースしたアルバムLa 167から次のパーティーチューン!アルバムタイトルのLa 167はプエルトリコの高速で、他界した彼のおじいさんがLa 167沿いでガソリンスタンドを経営していたそうで、このアルバムはおじいさんに捧げた作品だそう。
Alice Deejay”Better Off Alone”をサンプルしててクラブ受けバッチリ!夏にかけて今からもっと流行ってきそうな予感。

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