DJ BRAIZEとDJ 4RESTがそれぞれのDJ感について語る


DJ Braize & DJ 4Rest at DJcity Japan Takeover at Giraffe, on November 10, 2018.

六本木/西麻布にあるa-lifeにてレジデントDJそしてミュージックプロデュースを担うDJ Braizeと大阪はBeePM Managementに所属するDJ/プロデューサーのDJ 4RESTが、それぞれのDJ感についてDJcityのインタービューに答えてくれました。

お二人ともレジデントDJですが、新譜が毎日リリースされる中で、お客さんが聴きたい曲と、DJとしてプレイすべき曲にギャップって生まれてくると思いますが、そこの調整ってどうしているんですか?

DJ 4REST : 難しいですね。僕は結構自分でリミックスとかブートレグ作りますけど、まずは、どう上手く差し込めるのか?っていう視点がありますね。新譜に対して、原曲だと自分の現場ではかけずらいな、もうちょっとパワー欲しいなって感じたら、リミックス作ったり、みんなの知ってるようなアカペラ挟みながら、徐々に浸透させるみたいな感じでアプローチして、最終的にオリジナルに持っていくような流れですかね。

DJ Braize : かける時のタイミングとか、僕も結構気にしますね。リリースされていきなりBillboardチャートの1位に君臨する曲とかあるじゃないですか?そういうのは困らないんですけどね。例えば、日本で全くかからないけど、外国でめちゃめちゃかかってる曲みたいなのって多いじゃないですか?ちょっと濃いめのHip Hopとか。アメリカだとどこのクラブでもかかってるみたいな。そういう新譜の入れ方は結構気にしてますね。お客さんに「この曲は知ってないといけないんだな」って思わせるようなプレイで差し込むように努力しますね。わかりやすい曲とわかりやすい曲の間に綺麗に挟んでいくとか。そうすると「あれ?なんで今の曲知らないんだろう?流行ってるの?」って感じる可能性は高くなるじゃないですか?極論ですけど、誰もが知っている10曲の中に1曲だけ知らない曲があると「なんだろう?」っていう感覚は生まれやすいですよね。もしくは、ブートレグとか強めの音で流行らせて、オリジナルに差し替えていくとかもありますし。新しい曲がReggaeなのかHip HopなのかEDMなのかによって、多少はやり方は変わってきますけどね。

DJ 4REST : 流行ってる曲を1曲かけた後で、今はこういう曲だからこう聴いて欲しいっていうのを、温度感を持って伝えたいですよね。敢えて5秒くらい無音にしてからバンってかけて、その曲で一斉に全員が盛り上がるみたいな、そういう瞬間をみんなに共有して貰えるような差し込み方ですね。

具体例として最近そういう曲ありましたか?

DJ Braize : 曲によりますけど、静かなコードから入っちゃう曲とか、流石に頭からかけるのは難しいなって思うんですけど。でもDrakeのGod’s Planは最初のところから入れましたね。ボーカル始まるところで綺麗に繋いじゃうと、流れで聴いちゃってると思うんで。幸い、a-lifeの場合はMCがいるんで、MCに「この曲頭からかけるから頼むわ」みたいな感じでやったりしますね。1回お客さんを煽って、テンションをDJブースに向けるみたいな。DJってそういうの大事じゃないですか。ずっと綺麗に30分繋いだ後にいきなりスクラッチが入ると、やっぱり1回お客さんの注目を引き寄せますよね。「あれDJ変わったのかな?」みたいな感じで。そうやって新譜を入れたりしますね。


DJ 4Rest at DJcity Japan Takeover at Giraffe, on November 10, 2018.

クラウドコントロールするために上げたり、下げたり、波を作ると思いますけど、中には上げっぱなしのDJもいますけど、そういう上げ下げの部分って気にしてますか?

DJ Braize : そうですね、上げっぱなしにしちゃうと、今度はお客さんが上げっぱなしの状態に慣れてきちゃうんですよね。ずっと上がってる状態なんで、次どこで上がっていいのか、わからなくなっちゃう。上がってる状態の更に上ってないですし、次は落ちるしかないんで。だから、落ちてもいい時に落として、上がりたい時に上げられれば、波って作れるんですけどね。

DJ 4REST : フェスだと3,2,1でみんなジャンプして盛り上げるとか、お立ち台に女の子がいて盛り上がるとか、飛び跳ねるのも、手を上げてるのも盛り上がってる状態だと思いますし、逆に一旦足を止めてお客さんを一斉に歌わせるような、一体感のある瞬間も盛り上がってると言えるし、色々な要素を入れながら波を作る感じですよね。

DJ Braize : なんでフェスのあれが成り立つかって言うと、やっぱりEDMって1曲の中でブレイクダウンがあって、ビルドアップしてドロップ行くっていう流れが1曲の中で成り立つじゃないですか。クラブの1晩もあれでいいと思うんですよ。盛り上がる所があって、落ち着かせるところがあって、ちょっとなんかお酒を買いに行く間を与えるじゃないですけど、そういう雰囲気を作ったり、エロい感じにしてみたり、色んなシチュエーションで曲を変えて1晩を作るみたいな。やっぱりそれってクラブに必要ですよね。

お互いをどういうDJだって思ってますか?昨夜のプレイを見て(DJcity Takeover Osaka)、どんな感想を持ったのか教えて下さい。

DJ Braize : 僕は大阪に来て、DJがみんなフロアを見てるなって印象を受けましたね。それって凄く大事なことじゃないですか。僕もクイックだったりとか、忙しい作業に入ると、どうしてもパソコン見たり、触りっぱなしになりがちなんですけど、結構そこは気をつけるようにしていて。だから、DJを見る時に、当然ミックスとか、かけてる音楽は聴きますけど、どういう表情でやってるのかっていうのは大事だと思ってます。やっぱり楽しそうにやっていれば笑顔になりますし。自分はそうなんですけど、上手くいかない時って笑いたくても笑えなくなっちゃうんですよ。「あー全然上手くいかないな」って思ってる時は、ニコニコしたいんですけど、焦りが顔に出ちゃって(笑)。4REST君も含め、他のDJもそうでしたけど、凄くみんなフロアを見てるなって思いましたね。パソコンを見たり、CDJを見ている時間が少ないなって感じたんで、それが出来るってことは、フロアを良く見てるって事なんで、お客さんのコントロールが出来てるんですよね。

DJ 4REST : 僕はもう、Braize君は東京で一番会いたいDJで、DJcityの前回のインタビュー記事を読んで共感して、ずっとこの人に会いたいって思ってました。やっぱりゲストDJとして呼ばれると、自分の爪痕と言うか、自分の色を全開に出す人が多い中で、Braize君は早い時間からクラブを肌で感じて分析して、実際のプレイも本当に良いバランスで自分のスパイスを入れてるんで、やっぱり東京でレジデントDJとして、お客さんの事を考えてDJしてる人だなと。自分が思った通りの人だなっていうイメージですね。


DJ Braize at DJcity Japan Takeover at Giraffe, on November 10, 2018.

昨日は本当にいいDJでしたね。驚いたのは、お客さんのほとんどが20代前半の中で、彼らが聴いた事もない90sとか80sをかけて盛り上げてましたけど、あれはどんな感覚なんですか?

DJ Braize : 昔の曲のプレイに関しては、その「そもそも知らなきゃいけないのか?」っていうのがありますよね。食事に例えちゃいますけど「和菓子がめちゃくちゃ美味いと。だからお前これだけは絶対に食わなきゃダメだよ。でも嫌いなんだもん、食べたくないもん。いいの私は和菓子じゃなくカップラーメンでも。」っていうのが、間違いなんですか?って話なんですよ。正直、別にどうでもいいですよね?ってなると、古い曲を知っていなくちゃいけないっていう考えが、そもそも違ってるんじゃないかなと。あんまりそういうのをやり過ぎると、DJとお客さんの距離が離れていくと思うんですよ。なので、古い曲をかけます。それでお客さんが何か分からないけど楽しいって感じで踊っていれば、僕はもうクリアだと思ってます。でも「あ~このDJさっきから古い曲ばっかりかけてるよ~。」ってなった時はもう、お客さんの耳にその曲は入ってないと思うんで、無意味なプレイなんですよ。それはクールじゃないって僕は思いますね。音楽を聴く時間を持てないほど忙しいサラリーマン捕まえて「Spotify開いてもっとカッコいいインディーズあるんだから聴けよ!」っていうのおかしいですよね?それと同じで、DJがお客さんに対して新しい曲だったり、コアな曲を勧めた結果、お客さんの耳が閉じちゃったら、そこからは本当に無意味な時間が流れるんで。アメリカと日本でクラブカルチャーは違うんで、古い曲に関しては難しい話なのかもしれないですけどね。古い曲を差し込めるDJの良し悪しは、お客さんが「今日は楽しかった」って思えるレベルだと僕は思いますね。

DJ 4REST : 僕は新譜と一緒で、かければ良いと思います。よくありがちなのが「誰々君、何々かけてるやん、やばい、やばい」みたいな。でも実際フロアで棒立ちになってしまうような曲だったら、別にスタートボタン押したら誰でもかけれるじゃないですか。それでお客さんが踊れば正解だと思うんですけど、物知り風な奴が「お前これ知らんやろう」ってドヤ顔でかけて滑ってるんだったら、正解じゃないですし。おっさんが喜ぶような曲でも、20歳くらいの若い子が踊ることもありますし、古い曲も、新しい曲も、みんなが知らないであろう曲も、やり方は一緒というか。よく言われるチャラい曲って、チャラくかけたからチャラいイメージがあるのであって、古い曲が、全て古臭いわけではなく、新しい曲が、全てカッコいいわけでもないので、曲の良い部分をDJがどうコントロールしてお客さんに届けるのか?っていうのが大事だと思いますね。

DJ Braize : エンターテインメントっていう枠で見ると、最終的にはDJだけじゃなくクラブが作り出す雰囲気とか、環境も大きく関わってくると思うんですよね。全く知らない新譜かけた瞬間に、いきなり火がついたシャンパンがバーっと出てきて「超盛り上がってるぜ!」って感じさせたら、その曲はもう「アリ」になっちゃうんで。でも、滅茶苦茶シラけてるところで、新譜かけて誰も知らなくて更にどんよりしたら、もうダメですよね。また料理の話になっちゃいますけど(一同笑)、料理に例えるの好きなんで(笑)。ブロッコリー嫌いな人に、いきなりブロッコリー食べてって言ったら、100%食べるわけないじゃないですか。でも、雰囲気の良い和食料理に連れて行って「このブロッコリーどこどこで採れた希少種だから、今日だけでも食べてみない?」っていう前置きがあったら、全然違ってくると思うんですよね。DJも同じで、綺麗な前置きがしっかり組んであれば、どんな曲であってもすんなり入っていけると思うんですよね。DJも大事なんですけど、クラブの雰囲気とか環境とか、そこで繰り広げられるエンターテインメントっていうものを見据えて、もう少し力を入れるべきですよね。

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