Red Bull Music 3Style Japan Final 優勝 DJ Fummy


FUMMY performs during the Red Bull Music 3Style National Final at evoL by GRANDMIRAGE in Fukuoka, Japan on November 24, 2018. // Suguru Saito / Red Bull Content Pool

Red Bull Music 3Style Japan Finalが先日開催されました。6名のファイナリストが素晴らしいルーティンを披露してくれました。3位にYB、2位にYUTOがランクインという、とてもハイレベルなコンペティションの末、DJ Fummyが優勝に輝きました。DJ Fummyの名前はDMC Japan優勝者のターンテーブリストとしてもその名前が有名ですが、その彼が同じくDJ界の大会としてその地位を確実なものとしているRed Bull Music 3Styleでもタイトルを獲ったことは大きなニュースではないでしょうか。その彼に優勝に至るまでの経緯やDMCとの比較のお話を聞くことができました。


FUMMY poses for a winners portrait during the Red Bull Music 3Style National Final at evoL by GRANDMIRAGE in Fukuoka, Japan on November 24, 2018 // Suguru Saito / Red Bull Content Pool

おめでとうございます。今大会、優勝する自信を持って臨みましたか?。

DJ Fummy : そうですね、正直ありました(笑)。でも、3日くらい前にようやく自信が出てきたというか、それまで全然ルーティンが出来てなくて。2ヶ月くらい前から作り始めたんですけど、全然進まなくて。多分、考え過ぎていたんですよ。DMCの大会の後に作り始めたんで、内容に凝りすぎて進まなかったんだと思います。

Fummyと言えばDMCのタイトルホルダーでもあり、今回で3Styleのタイトルも持つことになりましたが、今何を感じていますか?

DJ Fummy : DMCに関しては本当に自分が好きな事で、自分がほんまにカッコいいと思うことをやるんで、凄くマニアックで、誰にも伝わらないようなDJですよね。同じ側にいるDJ(バトルDJ)にしか伝わらない技とかが好きで、でもそんなのは今日のクラウドには全く伝わるようなものじゃなくて。3Styleに関しては、タイミング、出し方、見せ方を工夫していかないと、全く響かないどころか、むしろマイナスに働くことは理解してたんで。その「え、何してんのこの人?」みたいな(笑)、技の使い方を間違えると結構寒いことになるって言うか。本来Beat Jugglingって素晴らしいものなんですよ、でも出し方が大事で。お笑いとかもそうじゃないですか?めっちゃいいギャグでも、そこじゃないやんとか。僕、マニアックなことは大好きやけど、それがいつも伝わるわけじゃないってこともわかってるんで、言い方が難しいですけど、3Styleで手を抜くとかではないですけど、DMCと比べるとシンプルにしたっていうのが適切なんですかね?とにかく、わかりやすさを重視しました。

わかりやすさを追求する過程で本来自分が持つスキルを削ぎ落とす行為は、不安に感じませんでしたか?

DJ Fummy : 怖いですよ、めちゃくちゃ怖い。「これで大丈夫か?」ってなりますよね。DMCの大会の中でも、僕自身はかなりスキルに特化した部門にエントリーしていて、そこにいるようなDJの中でも、結構マニアックな部類なんで(笑)。にも関わらず、この内容で本当に大丈夫か?っていうところはありましたし、とにかく僕はスクラッチとかBeat Jugglingとかがめちゃくちゃ好きで、やっぱりそこを見て欲しいと感じますよね。もっと色々なDJに見てもらって、みんなにもトライして欲しいって感じる部分はありますんで。


FUMMY poses for a winners portrait during the Red Bull Music 3Style National Final at evoL by GRANDMIRAGE in Fukuoka, Japan on November 24, 2018 // Suguru Saito / Red Bull Content Pool

そもそも今回、Red Bull Music 3Styleに出場しようと思ったきっかけは何だったんですか?

DJ Fummy : そこはノリですね(笑)。本当にノリです。

ノリで出場して優勝って、凄いことですよ?

DJ Fummy : DMC終わって、今日までの期間があったんで、本当にノリで出ようと思って(笑)。それと正直な所、DMCをずっとやってきて、飽きたって言うか、気分転換が必要かなとは思ってました。でも、自分にとってDMCは意地で挑戦し続けるもので、世界一を獲るまでは絶対にやめないって決めてるんで。3Styleに関しては、それこそBさん(DJ B=BALL)が出てるの見ていて、めっちゃ楽しそうだなって思ってたんです。尺も15分で長いですし、削ぎ落とすのが怖いっていうのとは別に、正直この尺の長さだと技を失敗するリスクも減りますし、僕としてはめちゃくちゃ気持ち的に楽ですね。

なるほど。一方で3Styleはナイトクラブ的なバイブスを求められる傾向がありますけど、そこはどう向き合いましたか?

DJ Fummy : 曲を聴くのは好きなんで、パーティー系でこれは苦手っていうジャンルもありますけど、基本的に今日かけた曲はめちゃくちゃ好きなんで。DMCとの比較になっちゃいますけど、実際今日かけたような曲は絶対にDMCでは使えないですよね。だからナイトクラブで聴くような曲を使わないDJだと思われがちですけど、元来音楽が好きなんで、僕としてはいつもと違う曲を使ってルーティンを作れたのは、本当に楽しかったですね。

自分で作ったEditをルーティンに入れるという部分はどう考えてますか?

DJ Fummy : そこは意外と僕はこだわりないです。DMCの裏話みたいなものですけど、流行りの楽曲を編集して使うことってよくありますよ。Ableton Liveみたいなソフトで、原曲に対してキックを足したり、スネアの数を変えたり、普通に聴いたらワケがわからない構成にして、それをルーティンに盛り込んで別な曲にしたりとか、そういうやり方は、邪道と言われればそうかもしれないですけどね。やっぱり昔ながらの、レコードの時代から見てる人達にとっては、Editを使うのは邪道に映ると思います。僕もレコードを使って大会に出てた時代もあるんで「Edit使って何してるんやろ俺?」みたいな、そういう変な感覚に陥ったことはありますけど、僕はこの手法を使い始めるのが割と早かったんで、今は何も違和感はないですね。「こっちのがやり易いやん」みたいな。3Styleっていう大会が出てきて、Editを使ったプレイは結構進化した気がしますね。時代の流れにゴリゴリ慣れていくしかないですし、自分が見せたいものを見せるために抵抗はないんで、場合によっては自分にとって都合良く曲の構成を変えることも必要だと思います。

World Finalに向けてですが、国内大会とはルーティンを変えた方がいいみたいな噂があると思うんですが、どうしますか?

DJ Fummy : そうですよね(笑)。じゃあ、作り直します(笑)。全部違うやつにします。今日から作り直し始めます!全部ですよ、今日やったEditとかも全部変えます。あと、今日は本当にミスが多かった。自分で自分が許せないくらいミスりました。1箇所や2箇所とかいうレベルじゃなくて、全箇所ミスったくらいの感じです。緊張もありましたけど、とにかく準備不足でしたね。15分のルーティンを通しで出来るようになったのが、今日の朝とかなんで、本当に今日ようやく大会に臨めるようになったばっかりだったんですよ(笑)。


FUMMY poses for a winners portrait during the Red Bull Music 3Style National Final at evoL by GRANDMIRAGE in Fukuoka, Japan on November 24, 2018 // Suguru Saito / Red Bull Content Pool

World Finalも大会ウィークの中で予選と決勝があるので、15分のルーティンを2つ用意するのが理想だと言われてますが。

DJ Fummy : やります。いけます。今回、大会の1週間くらい前にBさん(DJ B=BALL)のところに行ったんですよ。その段階で、ほんまにゼロの状態っていうか、色々考えてはいるんですけど、何も形になっていなくて。大会1週間前で実質ゼロの状態って結構ヤバイと思うんですよ。それをDMCとかでも結構やっちゃうタイプなんで、自分で言うのも難ですけど、ちょっと色々やり方とか、準備がおかしいんですよ。でも、そういう危機的な状況で出る「謎のパワー」とかもあるんですけどね(笑)。今回はBさん(DJ B=BALL)の家に行って話をしたら、もうすぐに出来たんですよ。何と言うか、ネタを授けてくれたみたいな。元々こういうのをやりたいっていうのは漠然とありましたけど、僕の中で固まってなくて。ずっと3Styleに出てたBさん(DJ B=BALL)の所に行って、やっぱり得意な人間に意見を聞くっていうのは早いですよね。こんなんもっと早く行けば良かったと思いましたよ。ほんまは2週間くらい前に行く予定だったんですけど、あまりに何も固まっていなくて先延ばしになって。で、行ってみたら2個くらいひらめきを授けてくれて、その後、頭の中にあるものが全部繋がっていくのがわかりましたね。正直なところ、Bさん(DJ B=BALL)の家に行く時点でさえ、何も見せるようなものが無くて(笑)、内心で「やっべぇ・・」って思ってましたけど、あそこに行けば何とかなるっていう根拠の無い自信はありました(笑)。

つまり、World Finalでも今回同様に追い詰められてからルーティンを生み出すということですか・・?

DJ Fummy : いやいや、Finalはちゃんと準備したいと思います(笑)。明日からコツコツ作って、何回も練習して本番に臨みます。それと、これまでの日本のチャンピオンに色々聞いてみようとおもいます。Bさん(DJ B=BALL)もそうですし、DJ YOU-KIさんにも話を聞いて。とにかく先駆者の話を聞かないと始まらないと思います。あと、3Styleであれば、過去のプレイヤーのパクリじゃなくて、あえてのオマージュだったり、ビルドアップした音源を使ったりとか、DMCのカルチャーの中だと絶対に出来ないようなプレイも3Styleの中では評価されるんで、自分も楽しめるルーティンを作りたいですね。今まで僕が歩んだ大会を振り返ると、3秒のちょっとした技のために何ヶ月も繰り返し練習したりとか、正気の沙汰じゃないですし、表現と重圧の間で苦しんでルーティンを作っていましたけど、3Styleに関しては楽しんで作りたいと思います。

最後にWorld Finalへの意気込みをお願いします。

DJ Fummy : 優勝目指して頑張ります。今日のJapan Finalも優勝する自信を持って挑戦しましたけど、その先を全く考えてなかったんで、とにかく頑張ります。今日は自分との戦いと言うか「あそこで間違えるなよ」とか、そんな感覚でしたから、やっぱり準備が大事ですよね。明日からしっかり準備します。それと、台湾は日本から近いんで、応援に来てくれたら嬉しいです。

関連: Red Bull Music 3Styleの大会参加者と同じ経験を

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