DJ SpiTeが日本とニューヨークで感じたシーンの違いについて語る

前回のインタビューでDJ SpiTeDave Eastや他のラッパーとの出会い、彼らとスタジオに入るなどの日本では経験できないエピソードを語ってくれました。今回のインタビューでは、日本とニューヨークでの楽曲に対するオーディエンスの反応の違い、それぞれの魅力など様々なことを語ってくれました。

※前回のインタビューはこちらから

今後は日本でどのような活動をしていこうと考えていますか?

DJ SpiTe :
楽曲制作はトライしてみたいと思ってる。まだ出してないけど。Doug E Freshの二人の息子のユニットでSquare Offっていうのがいるんだけど、そいつらの次のMixtapeを日本勢も絡めてHostedをやろうとしてて、今までそういうのをやったことがないから、外タレのhostedができれば面白いかなと思ってるよ。

DJとしての活動で最終的な目標はありますか?

DJ SpiTe :
これって言うゴールはあまり見えてないかな。やりたいことを1つずつクリアして行く感じ。次にアメリカ行くとすれば、ダンスクラブじゃなく、ストリップクラブでDJ出来るところまで行きたいな。NYにもまた行こうと思っているし。

Dave Eastの繋がりから、SNSのやり取りがあって、向こうに行ってDave East含むラッパーや、周りの人たちとリンクしていくっていうのは思ってたより簡単にいった?行かなかった?

DJ SpiTe :
思っていたよりは簡単ではないですね。連絡がコンスタントに取れていても、実際にいつ会おうって決めても、待ち合わせを飛ばされることが多くて。1回リンクした奴らはサクサク会えるんですけど。

連絡してきた奴らは「いつか俺も日本でライブをやらせてくれ!」という意味も込めての連絡だったと思う?

DJ SpiTe :
そういう奴らは多かったと思います。特に若い奴らからしたら、日本はA BATHING APEもあるし、勝手にイメージが膨れているというか、日本に興味ある奴は沢山いたと思います。

Dave Eastは色々ヘルプしてくれたと思うんだけど、向こうでDJをする際は彼は助けてくれたの?

DJ SpiTe :
いや、それは全くないです。

どのようにDJをする機会を得たの?

DJ SpiTe :
地元が茨城なんですけど、地元の大先輩がNYに住んでいて、向こうで1晩回すっていう人と連絡を取ってて、その人との繋がりでDJが出来ましたね。

もしその繋がりがなかったら、他にどんな方法があったと思う?

DJ SpiTe :
その場合は、日本人のコミュニティに入って行かないと難しいと思います。ストリートレベルでクラブに毎日通って「DJやらしてくれ!」って言うだけで簡単に行けるような環境ではないですし、敷居は思っているよりも高いです。ストリップでも箱DJはいるし、コネがないと厳しいですよね。

現場に直結するために、どの人物にコンタクトするべきかっていう部分で、Dave Eastの力を借りることは無かった?

DJ SpiTe :
そうですね、Dave Eastの繋がっているところで、ストリートのラッパーとか、俺が会いたいと思ってた奴を紹介してくれるというのはありましたけど、DJ的な部分では特に何もなくて、自分からお願いするわけでもなく。

それはやっぱり、プライドの部分?

DJ SpiTe :
それはもう、俺らが彼を日本に呼んだ時と比べて、彼らのレベルが別次元になっていて。身につけているものから違うし、ミックステープの音源のクオリティも違うし、向こうで会って「もう会った時と全然ちげぇ!!」っていう印象が大きかったし。やっぱり大金をゲットしたんだなと。その上、物凄く忙しいんですよね。シングルのリリースパーティーとか、ストリップクラブに行っても、1時間くらいでスグにスタジオ戻ったり。

日本でツアー1回った時みたいに、こっちでもライブDJやってよ!みたいなオファーはなかったの?

DJ SpiTe :
シングルのリリースパーティーとかじゃもう歌わないんですよね。フェスとか、パフォーミングライブをちゃんとやるような場所以外では全く歌わなくて。シングルリリースパーティーの時も、初めから一緒に行ったんですけど、DJ SUSS ONEがリリースしたシングルをかけて、マイクを持ってきてくれるんですけど、そのマイクをすぐ隣にいる友達に渡しちゃうみたいな(笑)。そこでメシ食って、ただ酒飲んで、さーって帰るみたいな。

さっきのクラブの話に戻るけど、最初の突破口はその地元の先輩が助けてくれて、そっから先は自分で? 

DJ SpiTe :
最初の繋がりはその先輩が仕切ってたんですけど、大きい枠でいうと日本人コミュニティの中でやってる感じで、自分も3ヶ月しかいない間、そこで繋がりを広げまくる必要はないかなと思って。それならDJする機会は少なくても、もっと色々なことが体験出来る生活を大事にしようと考えていたので、頻繁にDJのギグを取ろうとしていたわけじゃないです。

アメリカではHip-Hopはチャートトップに入ってくるのが当たり前ですけど、言語の問題がある日本でも、いずれそのような時代になっていくと思いますか?

DJ SpiTe :
アメリカの場合だったら人種問わずHip-Hopがイケてる音楽みたいになってると思いますけど、日本はまだまだ時間がかかると思いますね。Hip-HopやRapというものをアメリカと同じ形で広げるのは難しくて、日本で大衆的に認知されるHip-Hopっていうのは、アメリカから持って来たものと言うより「日本で作ったもの」になってる気がするんですよね。

DJ SpiTe and Friends (写真提供: DJ SpiTe)

では、日本語のリリックのHip-Hopがアメリカで成功する可能性はあると思いますか?

DJ SpiTe :
どうなんですかね。茨城の先輩の楽曲を向こうの奴らに聴かせると、たまに出てくる英単語とフローで「これ面白いな」とか言う人はいましたけど。かなり難しいとは思いますけど、ゼロではないと思います。

海外でDJを経験して、今後海外でプレイしたいと思っているDJに、持っておくべきマインドなどアドバイスはありますか?

DJ SpiTe :
そうですね、自分のかける曲のリリックはざっくり解っておいた方がいいと思います。自分もノリだけで聴いてて理解していない曲もありますけど、自分が扱う曲、ある程度解っていた方がいいと思います。全てがキャッチーで、みんなわかりやすい曲じゃないんで。今のNYのストリートヒットになってる曲も、メロディーは気持ち良い感じだけど、ストラグルを歌っている曲もかなりあるので、ある程度は解っていた方がいいと思います。

それこそメロディーで繋ぐ時もあるけど、リリックの雰囲気が全然違うのに、音の部分だけで繋ぐことはあるの?

DJ SpiTe :
無くはないんですけど「この曲からこの曲は無くね?」みたいなボーダーラインはあります。

それって、日本のシーンだとなかなか気づいて貰えない部分ですよね。

DJ SpiTe :
そうですね。でも、最低レベルのラインは、DJだったらあると思います。時々、曲に対して愛着の無いDJが、凄いオールドスクールから凄いキャッチーなやつで、リリックもビートも全然違うのを繋ぐのを聴くことはありますけど、そういうのは自分じゃなくても、ある程度のDJならボーダーラインはそれぞれに持ってると思います。

次はいつアメリカに行く予定ですか?

DJ SpiTe :
来年末には行きたいと思ってます。どういう形で行くかは決めてないですけど、シカゴとかも行ってみたいし、南部やマイアミにも行ってみたいですね。

向こうに活動の拠点を移そうとは考えていますか?

DJ SpiTe :
考えていないわけではないですね。でもVISAの問題もあるし、結構多いのが、ESTAの期間3ヶ月ギリギリ滞在してから、ジャマイカに行ってまた戻るみたいな人がいて。カナダとメキシコは協定があって、国境をまたいでも3ヶ月リセットにはならないんで。

その内、ジャマイカも規制されそうですね。

DJ SpiTe :
そうですね。音楽をやる人間がアメリカに拠点を移すのは、語学学校の学生VISAがメインですよね。実際に学校には通わない人も多いですけど。年間1800ドルを支払って、学生VISAを保持するという人は多いですね。

でも、それだと行き詰まるんですよね。実力が認められて、いざギャラが発生する時に違法な「アンダーザテーブル」をお願いすることになる。

DJ SpiTe :
そうですね。向こうでの活動がメインになった人は、弁護士を雇ってアーティストVISAを申請して、とは言っても簡単に発行されるものじゃないですけどね。日本人のDJでアーティストVISAを持っている人もいましたけど、単純に有名だからって発行されるわけでもなくて。時には偽装結婚みたいなのもありますし・・・(笑)。

最後に、NYの良いところ悪いところ、東京の良いところ悪いところって何かありますか?

DJ SpiTe :
東京の良いところは、日本全体で見たら新譜が早いのかなと。新譜が浸透するまでの時間が早いと思います。例えば、茨城でDJする時に、茨城でかかる新譜が、東京ではもう遅いっていうケースもあります。東京は国内に限って見たら、良い環境だと思いますね。でも、話が逸れますけど、最近地方に行った方が刺激になるDJが多いのかなって感じるんですよね。岩手とか、盛岡とか行った時に年上のDJの方が、凄くマニアックなDJされてて。そういう新しい発見はまだまだあるって言うか。東京の良くない所は、やっぱり遊べる場所が一杯あるんで、作品制作に集中しきれず、アーティストが遊んじゃうみたいなのは良くないのかなと思います。ラッパーで言うと、地方のラッパーの方がコンスタントに制作だけに取り組める環境なのかなって。NYの良いところは、流行が生まれるというよりかは、畳み掛けて流行を作りにいってる感じはしますね。ストリートヒットになるであろう曲に関しては、ある程度露出しているDJの操作を感じると言うか・・・。「Hot97のDJ達がこの曲を何回かけるんだ!」みたいなのありますし、流行を作りにいってる感じがNYの魅力ですよね。

関連: DJ SpiTeがDave Eastとの出会いや、ニューヨークで経験した事について語る

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