インタビュー: DJ KEKKEがDJ VICEに6つの質問

今、日本で最も活躍するDJの1人であるDJ KEKKEも、ラスベガスを始め世界トップクラスのナイトクラブで活躍するDJ VICEをフォローし続けている1人です。そのDJ KEKKEが、オープンフォーマットDJの代名詞でもあるDJ VICEと、RAISE Tokyoで共演することが決まっています。今回はDJ KEKKEからDJ VICEに、6つの質問が投げかけられました。質問の中では、日本のDJ業界でも話題となった、一晩のパーティーに出演するDJの人数についても率直な意見が語られています。

DJ KEKKE: 仕事(DJ)とプライベートのオンオフをどのように切り替えていますか?これまで何十年も世界の第一線でプレイしてきて、DJを辞めたくなったタイミングはありましたか?そして今も高いモチベーションをキープしている、DJとして生きるコツがあれば教えください。

DJ VICE: 仕事とプライベートの切り替えは凄くシンプルにやっているよ。家族とリラックスすること、充分なバケーションを取ること、自分に刺激をくれる場所に行ったりとかね。オフの時でも耳に飛び込んでくる音楽から新しいトレンドにも触れて、人生の全てが自分のDJプレイにインスピレーションを与えてくれる。たとえ音楽を聴いていなかったとしても、自分がDJをしていない時にでも、色々な事からインスピレーションを得ることは可能だと思う。シンプルな話で、ビーチでリラックスしてモチベーションを高めて、仕事に戻れば、最高のマインドでパフォーマンスができるんだ。それから、確実に言えることは、今まで一度もDJを辞めたいと思ったことはないよ。肉体的にDJができなくなるまでは、ずっとDJを続けたいと思っている。

DJ KEKKE: ラスベガスでDJプレイする際の選曲と、それをパフォーマンスすることをどう感じていますか?ロサンゼルスやニューヨークなどでプレイする時よりも、観光客がメインになるラスベガスでは、選曲も大衆向けな音楽に偏りがちと想像しますが、それに対してのストレスはありますか?

DJ VICE: どの都市でDJしても、それぞれ違うスタイルが必要とされているのは当たり前で、ラスベガスでのDJは、100%の大きなエナジーでスタートから最後まで臨む必要があるよね。オーディエンスは世界各地から、最高の音と照明、ナイトライフを楽しむために来る観光客だからね。それに、みんな出身地やバックグラウンドも異なるから、音楽的は必然的に共通項のあるヒット曲が中心になるよね。それに比べると、例えばマイアミのE11EVEN ナイトクラブはヒット曲だけでなく、ReggaetonやHip-Hopがかかっている。Bad BunnyやRick Rossをプレイしても、ヒットしているHouseの曲だって挟むこともできる。ロサンゼルスでDJするときにはThrowbackのHip-Hopや、初期のKanye West、JAY-Zとかの曲と、Afrobeatなんかの楽曲と織り交ぜることができる。西海岸という土地柄、Dr. Dreのクラシック、Nuthin’ But A G Thangだってオーディエンスの受けが良いし。幸運なことに僕は色んな都市でDJをする機会に恵まれてきたからね、色んなジャンルの曲で、自分らしいDJプレイすることができるから、シンプルに楽しんでいるよ。それに、その場所ごとに異なる音楽のテイストを、どんな曲をプレイして上手くオーディエンスをロックすればいいかをわかっているから、特にストレスは感じてないよ。

DJ KEKKE: 海外でクラブDJとして成功するコツなどを教えてください。自分の様に日本でずっとDJしてきたDJが、海外でクラブDJ(プロデューサーではなく)として成功するためのアドバイスがあれば聞きたいです。

DJ VICE: 世界中どこのナイトクラブでも同じだと思うけど、何が起きているのかが大事なことなんだと思う。その土地のDJが何をプレイしているかが、本当に大切な情報だと思う。つまり、その土地のDJ達が、僕のDJプレイに注目せざるを得ない要素が重要になってくる。それって、SNSなんかで盛り上がっているクールなパーティーの写真を見せることじゃなくて、僕がプレイした楽曲のプレイリストを見せることなのかなって。DJ KEKKEが実際にどんな楽曲を、どの現場でプレイしたかを見せることだと思うよ。KEKKEがどんな曲をプレイして、どの曲がオーディエンスに受けるのかがわかるプレイリストを示してくれたら、今の自分には思い付かないような、新鮮で驚きが溢れる何か発見があったりする。そうなると、僕がそれらの楽曲をプレイする度に、自然とDJ KEKKEのことを思い出すよね。だってKEKKEからのインスパイアで自分のプレイリストが広がることになったわけだから。ひょっとするとその楽曲はKEKKEがサポートしているローカルのアーティストの曲かもしれないし。実際に自分の耳で聴いて「コレだ!」って思えたら、その楽曲を自分のプレイリストに入れてロサンゼルスやラスベガスでプレイすることだってある。だから鍵となるのは、DJとしてどんな曲を、自分の地元でプレイしているかを見せることだと思うよ。

DJ KEKKE: 今までプレイしてきて過去最高だった(クラウドの反応)クラブやパーティーはどのシチュエーションですか?土地や食べ物とかの好き嫌いは関係無しに、世界中でDJしてきてクラウドの反応や雰囲気がベストだった場所など、具体的に教えてください。

DJ VICE: これに関しては、僕がみんなにいつも話しているのは、初めて日本でDJをした時のことだよ。オーディエンスが一体となって歌っていたんだ。自分のプレイする一曲一曲に対して、本当にみんなが歌ってくれたんだ。でも後でオーディエンスの1人と喋ろうとしたら、英語が喋れるわけではなかったことに本当に驚かされたよ。プレイしていた曲は英語だったのに。この体験はDJとして最も驚いた瞬間だったよ。どれだけ音楽を愛していのるかが、本当に伝わった瞬間だったから。だって、実際には英語を喋ることができないのに、リリックを曲と一緒に歌うことができるんだ。だから日本のオーディエンスの前でプレイするのは、本当に自分にとって一番インスパイアされる瞬間だと思っている。日本を除いた場合はやっぱりラスベガスかな。常にエナジーレベルが他のどんな都市よりも最高だし。みんなパーティーをしに来る姿勢で、心から楽しもうとしている。

DJ KEKKE: DJは少数精鋭 vs 大人数のどちらが良いと思いますか?日本のナイトクラブでは、一晩に8-10人(持ち時間30-45分とか)ものDJが一つのパーティーにブッキングされていることがあります。これは各DJがプロモーター(集客)としての役割を果たしている部分もありますが、一方で大人数のDJが一貫した音楽性でパーティーを盛り上げるには、時にこれが弊害になることがあります。DJ KEKKEとしては、VIPの売り上げや滞在などを考えた時に、少数精鋭でやった方が良いという意見ですが、DJ VICEはどう考えますか?

DJ VICE: 全く持ってKEKKEの考えに賛成だね。だって、DJは音楽でそのパーティーのストーリーを作る役割なんだから。そしてそのストーリーでダンスフロアを盛り上げる旅を、オーディエンスと一緒になって導くんだから。30分や45分間のDJプレイではそれをやるのは難しいよね。個人的な意見だと最低でも90分は必要なんじゃないかな?「最低」でだよ。最低でも90分間、それで辛うじてストーリーを伝えることができると思う。ダンスフロアーのエナジーレベルの波を、上げたり下げたり、徐々に最高潮に持っていくんだ。だから少数精鋭で、エナジーの波をコントロールできるDJ達だけで、1人最低90分のセットでやるのが正解だと思うかな。

DJ KEKKE: クラブDJは何歳まで続けますか?またその先のプランなどあれば、言える範囲で教えてください。

DJ VICE: DJはスポーツとは違ってアートだからね。アスリートは年齢による引退が必ず訪れて、ベストの状態でパフォーマンスできない日が必ず来てしまう。でもDJはアーティストだから、肉体的にDJブースの前に立つことができる限り、いや立つことができなかったとしても、機材の前で操作ができる身体能力があるうちは、DJを続けることができると思うんだよね。個人的にもDJはずっと続けたいと思っている。これから先ずっと、老人になっても、ダンスフロアーに向けてDJをする人間であり続けたいと思っているよ。そうすることによって、音楽の素晴らしさや愛情を、人に伝えることができると思ってる。そして、自分のDJとしてのブランドと方向性を、何か他のビジネスに活かすことが出来ないか?そこは常に探し続けているよね。DJを通して経験してきたことや、DJとしての音楽的な創造力を活かせるビジネスだね。ひょっとしたら、それは音楽が要素として入ってくる、レストランやラウンジを経営することかもしれないし。DJとして培ってきたものを、何か別の形でビジネスとして将来実現できたらいいなと思ってるよ

 

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