DJ IKUが全国各地でブッキングされている理由について語る

ターンテーブリスト/DJとしてもはや説明不要の、DJ IKU。彼は東京を拠点に活動していますが、日本全国各地そして海外と様々な場所で活躍しています。今回はDJcity Japanのインタビューにて、彼がどのようにして様々な地域からオファーを得てDJをすることができているか、そんなシークレットな部分を教えてくれました。

毎週、日本全国のどこかに行ってますよね?日本中から支持を受ける理由ってどういう部分だと考えてますか?

DJ IKU : そうですね、もうここ5~6年くらい、毎週日本のどこかにゲストDJとして呼んで貰っているサイクルっていうか、そういう生活をしていて、逆に東京ではレギュラーパーティーが1個も無いっていう(笑)。自分で言うのも変ですけど、珍しいタイプのDJで(笑)。内心は、みんなに呼んで貰っているばかりで、自分もみんなを東京に呼んでみたいっていう気持ちはあるんですけど、まぁ実際、レギュラーパーティーがない以上、それは出来ないワケで、じゃあ、お返しにじゃないですけど、いつも呼んでくれる人達に、俺から何を提供出来るのか?って考えたら、1つは言わずもがな、DJプレイですよね。そこは勿論なんですけど、それ以外の部分で俺が出来る事と言ったら、各地で会うローカルのDJ達と本当に仲良くなるっていう部分ですかね。だから、色々な土地に行く時に気をつけていますけど、変なゲスト感は絶対に出さないように心掛けてますね。でもまぁ、どんな土地でも一番最初の時って、先方が空港や駅で待ってくれている中でゲートから出て行くと、変にゲストっぽい登場になっちゃうな~とは思ってますけど(笑)。

確かに(笑)、スーツケース持ってさ~っと出て来たら「東京のDJ来たぞ」みたいな雰囲気になるかもしれないですね。

DJ IKU : 最初はなっちゃうんですけど、そこからの車での移動時間だったり、違和感無くみんなの懐に入って行く感覚っていうか、別に特別な努力とかを要する事じゃないのかもしれないですけど、この5~6年を経て思うのは、そういう「人との自然な付き合い」が出来ているのかなって思ってますけどね。まぁ、本当に他愛もない事を話したり、時にはお喋りクソ野郎な時もあるんでしょうけどね(笑)。今はSNSもあるんで、自分に興味を持ってくれた人達はどんな人達なんだろう?っていうのを、特に初対面の場合は気になるじゃないですか?実は既に過去のどこかで会った事があるのか、どこかで俺のプレイを聴いてくれたのか?それとも本当に全くの初めましてなのか。DJなのか、DJじゃないのか?とか、SNSを見れば俺を呼んでくれた人、それと共演者のDJも見つけられますし、みんなの近況を確認するって言うか、自分の気持ちをみんなに向けるっていう事が、自然とお互いの会話のきっかけになったりしますよね。

呼ばれる時って言うのは、新規のケースが多いですか?それともおかわりの方が多くなってきましたか?

DJ IKU : そうですね、全体で見るとおかわりのケースが多くなってきてますかね。新規だとしても、過去に行った事があるクラブが打っているイベントですね。

そうなると、やっぱり求められる部分は、パーティーDJと言うよりは擦れるエンターテイナーっていう部分ですよね?

DJ IKU : そうですね。確実にそっちの部分ですけど、それは俺がSNS上で発信しているもの自体が、ターンテーブリストとか、スクラッチとか、2枚使いみたいな表現にフォーカスしているんで、自然とそれらを求められますよね。それと、俺を呼んでくれる人達の中に、自分の周りの若手DJだったり後輩に、ターンテーブリストや、このカルチャーを見せたいっていう強い想いがあるのかな?っていう部分は最近感じてますね。特に地元の先輩が後輩達に見せておきたいっていうケースが多いのかなと思います。この前は北海道のClub Brooklynに行ったんですけど、オーナーのB.I.G.JOEさんがMCで入ってくれて、俺を紹介する時に「旭川のDJ達の活力となっているDJ IKUが登場!」みたいな事を言ってくれて、ワーオみたいな(笑)。やっぱり呼んでくれた事に対して、何を残せるのか?良い刺激をもたらすって言うか、俺が求められている役割っていうのはありますよね。

何度も同じイベントに呼んでもらえる理由って何だと思いますか?

DJ IKU : そうですね、プレイで見せるっていうのは当たり前ですけど、それ以外に、その地域とコミュニティー全体を好きになる事も大切だなって思ってます。地域と言っても、単純にその土地の飯が美味いっていうケースもありますし。呼んでもらった時には時間を作ってでも現地の風土だったり、そういうものに触れたいと思ってます。俺の場合はポータブルターンテーブルっていうオモチャがあるんで、現地に行って撮影して、SNSで発信すると反響も良いですし、各地との繋がりにもなって、みんな喜んでくれますし、次に会った時に話しても、また楽しいですしね。

東京と地方で比較すると、やっぱり地方の方がポータブルターンテーブルだったり、擦る系の風土は強いんですかね?

DJ IKU : 実際に多いかどうかの実数値はわからないですけど、毎回地方に行って感じるのは、そういうコミュニティーの結束力が強いっていうのを凄く感じますね。「DJ IKUが来たからには、一緒にセッションしておきたい」っていう熱意は、絶対に地方の方が強いですよね。結構前なんですけど、九州のイベントで、当日のパーティーに来た知り合いの人数よりも、翌日の昼に「一緒にセッションしましょう」って言って集まって来たDJの人数の方が多かったですからね(笑)。お前ら「昨日来いや!」っていう(笑)。

一同(爆笑)

DJ IKU : わからないですけど、俺が来るに際して、そこに照準を合わせたんでしょうね(笑)。「昨日のパーティーよりめっちゃ集まったなぁ」みたいな、そういうこともありましたね(笑)。やっぱり一緒に何かセッションをしたいっていう気持ちは強いんでしょうし、逆にみんなが来てくれる事で、少しの効果かもですけど、俺のSNSを介して各地のDJ達の露出にも多少貢献出来るのかな?とは思ってます。

とは言え昨今ターンテーブルからCDJへのシフトは顕著で、先日の新宿WARPで行われたDJcity TakeoverではCDJでプレイされてましたが、ターンテーブルを置いてるクラブは確実に減ってきてますよね?

DJ IKU : そうですね、大阪や福岡はもうCDJの方が多いですよね。ターンテーブルを常設してる箱って、だんだん中箱/小箱クラスに限られてくるのかな?っていうところですね。でも、俺の場合はゲストで呼ばれる際に「機材の確認」っていうのがあって、「ターンテーブル必要ですか?」っていうやりとりが必ず事前にあって、その質問に対しては「ターンテーブルがあれば嬉しいですけど、CDJでも大丈夫です!」っていう風に返してるんですけど、現場に入ると、皆さんしっかりターンテーブルを用意してくれるんですよ(笑)。

手厚いですね(笑)。

DJ IKU : やっぱり現場でCDJが増えてきたあたりで、その流れに対応するためにも、かれこれ1年以上は俺も自宅でCDJを触ってはいるんですけど、ただこれが、みんなの手厚い対応のお陰もあって、なかなかCDJデビュー出来ないって言う(笑)。行く先々でターンテーブルを用意して頂くんで、それならそっちを使うし、俺もその方が絶対にやり易いし。そういうのがあって、CDJを持っているのに、現場で使えないっていう状態が本当に1年以上も続いてて、で、この前の新宿WARPであったDJcity Takeoverの時に、俺の確認ミスもあって勝手に「タンテあるだろう」って思い込んでいたんですよ。で、現場に向かうタクシーの中で「あ、CDJしかないよー」って言われて(笑)。同じタクシーの中にHAZIMEさんもいて「イク。頑張れ(笑)!」ってエール貰って(笑)。

一同(爆笑)、その状況であのプレイ内容って素晴らしいですね?

DJ IKU : もう「やるしかない」って言う感じと「あぁ、遂に今日がCDJデビューの日なんだぁ」って思ってましたね(笑)。なので、多少の緊張感はありましたけど、家で1年以上も触っていたんで、技術的にテンパったりとかは無かったですね。CDJで出来る事っていう部分では、ターンテーブルでプレイしている時と比べると、俺の中では制限されてしまう部分ってまだまだあって、やっぱり複雑な2枚使いとかはCDJだと難しいのは事実ですよね。単純なスクラッチとかは全然いけるんですけど。でも別な視点で考えると、CDJで出来る範囲内のプレイでも、充分に俺らしい見せ場は作れるんだっていうのは実感出来ましたね、この前のDJcity Takeover(2019年1月)で。

平成が終わり新しい時代が来ますが、DJ IKUが新たに挑戦しようとしている事はありますか?

DJ IKU : チャンネルを増やしたいなと思ってて。そのチャンネルって言うのは、今DJスクールをスタジオで、生徒さんに直接来てもらって教えてますけど。例えば、オンラインだったりとか、YouTuberを目指すわけじゃないですけど、YouTubeを使ったチャンネルだったりとか、今以上に発信できるチャンネルを増やしたいなっていうのはありますね。地方と繋がる中で「オンラインスクールとかやらないんですか?」っていうリクエストがちょいちょい来るんですよね。現状、東京まで来てもらうしか術がないんで。もしくは、呼んでもらった時にワークショップをするみたいな形か。時代の流れに的にも、オンラインスクールっていう方法はあるのかなと考えてます。

関連: DJ IKUが語るDJと自身について

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